そうしていよいよ動物園に着くと、予想していた以上に寂れたムードに泣きたくなりました。
「こりゃだめだ」なんて死んでも言えない、言ったらおしまいというような、リアルな退廃がそこにはあったのです。
こんなところで想像妊娠に苦しんだシンシンを思うと胸が張り裂けそう……。
安すぎる入場料(600円!)を払い中に入ると、早速パンダのエリアが現れました。
うれしい半面、おそらくメインであろうパンダを、こんなにも早く見てしまって良いんだろうか?という戸惑いが生まれます。
はっきり言って、パンダ以上のものを見せてくれる生き物なんてこの動物園にいるのか?
しかし、傷心のシンシンを思うとそうも言ってられず、私は意を決してゲートをくぐり、シンシンの元へと向かいました。
ああシンシン、とうとう会えるのね、シンシン!
…ところがシンシンはストレス過多のためか奥に引っ込んでおり、この日見られたのはオスのリーリーだけ。
一瞬ガッカリしてしまいましたが、このリーリーのタレント性は凄まじく、人間の声援に応え、ゴロリと寝そべって股を開き、巨大すぎるペニスを誇示。
「パンダのリーリーのチンチン」と響きだけはファンシーですが、実際に見たその姿はなんともオスくさく、ついシンシンとの交尾シーンを思い浮かべてドキドキしてしまったほど。
また、モコモコしたシルエットから醸される雰囲気なども込みで、どこかビッグダディっぽい印象も受けました。
するとシンシンは……?
それにしても、日本人に擦り込まれたパンダ信仰には改めて驚かされました。
平日の寂れた動物園で数十人の客を引きつけ、熱狂させられる動物なんて、パンダ以外にありえないと思う。
むしゃむしゃと咀嚼される笹がめちゃくちゃ美味しそうに見えたのも、カリスマ性の高さがあったからこそで、じっと見ていたら、ただこうして観察されている以上に有意義な使い道、というか適職がもっとあるのではないかと思わされました。
それこそ、ビッグダディのように……。
Text/少年アヤちゃん
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