ガチでもヤオでも、思いたいほうに思えばいい             

 しかし、だからといって「田中みな実が好きだ」と胸を張って言い切れるほど、残念ながら私たちはまだ成熟していません。
なぜなら私たちには、彼女の仕掛ける“プロレス”にわざわざ乗っかってあげる義理も大義名分もないからです。

 したがって、「田中みな実? かわいいじゃん」とあえて意思表明することは、物わかりのいいフリをして、自分の器の大きさをアピールしているようにも見えてしまうのです。

 プロレスの“お約束”をネタにして笑うのは、もう古い。
かといって、一周してあえて“お約束”に乗っかる楽しさをみんなが共有するには、まだ早い。
ここに、田中みな実を好きとも嫌いとも言いづらい、現代のジレンマがあります。

 さて、そんな彼女に、オリエンタルラジオの藤森慎吾との真剣交際が発覚しました。

 彼女のことを、「ああ、しょせんああいう男と付き合うような性根の軽い女だったんだな……」と思うこともできるでしょう。

 しかし、彼女が仮に野球選手とでも付き合っていたら、世間から「やっぱり女子アナは……」と思われていたに違いありません。
あえて藤森を選ぶことで、彼女は“女子アナ”とは別の“田中みな実”という新たなカテゴリのタレントとして独立し、女子アナ全体の品格とイメージが落ちることを、わが身を挺して“守った”と考えることはできないでしょうか。

 根拠なんかありません。
そう思ったほうがおもしろいから、思うだけです。
私たちには、田中みな実を嫌う権利も、好きでいる自由も、どちらも等しく与えられているのですから。

 だから、田中みな実も、プロレスも、相撲も、アイドルも、バラエティも、ドキュメンタリーも、“ヤオ(八百長)か、ガチか”を問うことはおしなべて不毛です。
すべては、そう思ったほうがおもしろいから、思うだけ。
恋愛もきっと、そうなのではないでしょうか。

 ちなみに、加藤綾子、高島彩、大江麻理子……誰を答えても「ケッ」と思われそうな「好きな女子アナ」問題ですが、私は、「プレステージの素人モノAVに出てきそう」という理由で、TBSのマスパン(枡田絵理奈)が好きです(ピンとこない人はお父さんか彼氏に以下略)。

Text/Fukusuke Fukuda