「おごられた自分」に酔う女

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「おごられなれる女」[オゴラレ・ナレル・オンナ] ogolalei・nalelu・onna
生息地:一般企業を住処とし、合コンが開催されるような飲食店にて増殖。首都圏含め都市部に広く生息する。
特徴:自立するつもりがないため、一匹で生息していない場合が多い。親や同類や番いで暮らす。オスと食事時、財布には数千円しか入っていない。

 先日、都内のイングリッシュ・パブで独り酒してたら隣で合コン帰りの反省会らしき女子会が開催されていて……。 合コン幹事の男に「女子集めろ」的な命令をされた(想像)後輩女子・上田(仮名・20代後半)と、それに招待されたらしき先輩女子2人・杉田と中村(仮名・たぶんアラサ―)+イマイチ存在定義がわかりづらい女子・山川(仮名・20代後半)の計4名。

杉田「ちょっと~、どういうことよ~」
中村「当然のように割り勘するなんて信じらんない」
上田「すいません! まさか●紅だったらまさか割り勘はないだろうと思って……」
山川「●通はおごってくれましたよね…ボソッ」
中村「だよね~●通は女子には出させなかったもんね。男だわ」
杉田「現金持ち合わせてなかったから、カードで切ったよ、ホント。恥ずかしいったら」

 なんなの、この会話。異星人かしら? 
ううん、異星人ならこんなにイラッとこないはずよ。
冷静に考えるのシャルル! 
理解できない女の会話は、スタニスラフスキー・メソッドよ。
彼女たちになりきるの! そうすれば理解できるはず……(妄想すること5分)。
降りてきた、降りてきた。

「誘われて、すごすごと(まあ、多分進んでだと思うけれど)合コンに行きました。
名前の通った企業の男性社員たちだから、そっちもちで開催されるのだと思いました。
そうしたらきっちり飲み代を清算させられました。
あたしたちは折角来てやったのに、金とるのか?
あんたたちがやりたいっつったから来たのに、金とるのか?
何様のつもりなんだい、あんたたち」

 彼女たちの心の声が降りてきたわ、ありがとうお芝居の神様。

 おふざけはここまで。
こういう女の何が問題かって、「おごられた自分」に価値を置いているところ。
なんでこんなに彼女たちが憤慨しているのかと言えば「自分たちはおごられる価値もなかったのか」という失望から。
そもそも恋愛の、もしくは恋愛が生まれるかもしれない場所で、気がある女には男が金を払って当然だと。
おごられない女は、それだけ男に低く見られたんだって思ってる。

 その発想をそのまま発展させていくと、結婚するにも「夫に稼いできてもらってる自分」に価値を置くようになる。
多くの婚活で男の年収が情報として必要とされるのも、生活力チェックと称して「どれだけ稼いできてくれる男を射止めたかに、「自分自身」の価値を求めているような気がする。
「私が妻になるのは、●●円稼いできてくれる男性のもと。だから自分はこれだけ価値があります」っていう……。
花魁の身請けに、身請け金跳ね上げる置屋のゴウツク女将と同じじゃない。
自分で自分のこと身売りしてるの。
寂しい女ね。

 例え男側から誘われて行った場所でも同じこと。
誘われてOKした時点で、自分の食べるもの飲むものを自分で払おうと覚悟していくのは当然よ。
もちろん、上司に強制的につき合わされたとか言うのなら、話は別だけど。

 もちろん、アタシだって国際弁護士の元彼氏にボ●ューズとかベ●ジュとか、レ●ゾンとかでおごってもらったことはあるわ。
でも、それは自分が払える範囲のお店を選んだら、彼があまりにもリーズナブルな店に行き慣れていなくて、快適じゃなかったから。
自分に合わせて無理されるのもイヤだし、かといって自分では払える額じゃないから苦肉の策。
それだけ経済格差がある人を恋人に選んでしまった自分の不運だと思って、仕方なくおごってもらうことにしたの。
すごく悔しかったわ、自分の食べるものも自分のお金で食べられないなんて……ε-(´・`) フー

……ホラ、ものすごくイヤミに聞こえるでしょ、この話?

 恋愛はワリカンよ。一方がもう一方に与えるばかりのものでもなければ、見返り前提の等価交換でもない。ご飯くらいは自分で払う心持ちの方が、健気に映る可能性大!

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バッグはアクセサリーよ。いくら重かろうと自分のアクセは自分の身に着けて。以上!