素人なりに「良い脚本!」なんて言うときに褒めているのは例えば予想を裏切る展開だったり、巧みな伏線回収だったりと色々だと思うのですが、『抱きたいカンケイ』の魅力は飾らないチャーミングな会話の数々です。
身も蓋もないことを言えば、私はこの映画のセリフのほとんどが好き。
特に印象に残っているのは、フラットメイト共々生理になってぐったりしているエマのところにアダムがカップケーキと『生理中MIX』のCDを持ってくるシーン。
「パンツの中が事件現場」なんてセリフには笑うやら頷くやらです。
対して父親と元カノに「祝福」を求められるアダムに代わってエマがスカッと啖呵を切ってくれるシーンは何とも言えず男前。
どっちもきちんと笑えて、なおかつ胸がきゅんとする場面です。
恋は楽しむもの?身を焦がすもの?
「恋に落ちる必然性」がこれでもかと散りばめられながらも、どうしても噛み合わない二人。
それは恋愛をしがらみも痛みも含めてフルコースで味わいたいと願うアダムに対して、エマは自分を見失わずに、インスタントな楽しみだけを享受したいと願っているから。
一見アダムの一方通行な想いのようでいて、その実、恋愛観の綱引きのようにも見えます。
愛を告白されて「十分うまくいっているのにどうしてぶち壊すの!」と怒るエマの痛々しさ。
熱烈に恋する人と相思相愛になって、あらゆる面での相性が素晴らしく、ケンカもストレスもなく一生途切れることのない多幸感に包まれていられるなら楽だけど、そんなことってありえない。
ロマンティシズムとリアリズムと呼んでしまえば簡単。でも、傷ついたり失って途方にくれたりするなら最初から手を伸ばしたくない。今の時代そういう気持ちを全く持っていないという人もなかなかいないのではないでしょうか。
終盤、一番のトラブルメイカーな父親がアダムにいかにも彼らしい言葉で語ります。
「誰と落ちるか選べないのが恋だ。それに、決して思い通りにもいかない。」
別個の人間として生きている以上合致しない部分は必ずある上で、荊に腕を突っ込んででも抱きしめたい人がいるか。
ロマンティックだけどそれだけじゃない、自分自身の心に問いかけたくなるラストです。
ナタリー・ポートマンのまったく別の顔
U-NEXTさんにはナタリー出演映画のラインナップが豊富だったので私のようにナタリー出演非実在MVが流れてしまうようになった方は、どんどん発掘してくださいね。
やはり彼女がオスカーを獲った『ブラック・スワン』は正反対の魅力で外せません。 こちらで彼女が演じるのはクラシックバレエの大演目『白鳥の湖』のプリマ。バレエに捧げた人生と、母親からの溺愛と抑圧。大抜擢のプレッシャー、厳しく屈辱的な指導、ライバルに抱くコンプレックス…ストレスのオンパレードで追いつめられ、精神のバランスを崩していくヒロインを描いたサイコスリラーです。
ナタリーの演技は壮絶だわ、激しくもリアルな手触りの描写で畳みかけられるわで、観終えるころにはこちらもすっかり生気を失うこと間違いなし。
さあ、一緒に「傑作!!だがもう二度と観たくない!!!!」となりましょう。
ちなみにちなみにブラック・スワンで共演しているミラ・クニスは今ではアシュトン・カッチャーの妻。
なんと両方とラブシーンを演じたことがあるナタリーです。
好き!!!!!!!!!
TEXT/気絶ちゃん
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