結婚について感情が無な私が籍を入れたことの顛末/峰なゆか・卒業♡アラサーちゃん

彼氏ことチャラヒゲが突然「なゆちゃんと、け……っ、結婚したい……っ!!」と絞り出すように言ったのは交際を始めて5年目のある日の夜のことで、私の返事は「え〜〜〜ヤダ〜〜〜」だった。そもそもなぜ結婚とかいうやつがしたいのか聞いてみたところ「だってなゆちゃんとずっといっしょにいたいんだもんっ!!」と小学三年生のようなことを言い出し、別に結婚しなくてもずっといっしょにいられるし、結婚してもずっといっしょにいられるわけじゃないよ、と当然のことをわざわざ説明してみても「そんな悲しいこと言っちゃヤダッ!!」と、さらに重度の小学三年生発言を繰り返すだけだった。

出会った頃は「結婚? 興味ないかな〜。一生独身でいいや。彼女とかもめんどくさいからいらない。セックスはまあ……普通に生活してれば女の子のほうから『今度いっしょに飲みにいきたいです〜♡』とかって言われて『あれ〜♡ 終電なくなっちゃった〜♡』とかって言われるじゃん?」とチャラッとしたことぬかしていた男だとは思えない

めんどくさい。コイツが勇気を振り絞って決定的なセリフを口にする5分前に戻りたい。セフレに交際を迫られた男以外の何者でもない気持ちになった私はとあることを思い出した。私は、いつかは子供が欲しいタイプの人間だったのだ。

34歳の誕生日が来た時点で

しかし夏休みの宿題も漫画の締め切りもズルズルと先延ばしにするタイプでもある自覚はあるので、なんの対策も講じずに生きていたら気付いたときには閉経している未来が目に見えている。

そこでいろいろ調べた結果35歳以降の出産は比較的リスクが高めになること、なので私の出産の締め切りを35歳に設定すること、そのためには34歳くらいには妊活を始めるのが無難なこと、というわけで34歳の誕生日が来た時点で交際をしている男との間に、そいつが無職だろうが交際三日目だろうが問答無用で子供を作ろうと30歳の誕生日に決めたこと、そして34歳の誕生日が目前に迫っていることを思い出したのだった。
そういうわけだから子供を作ろう!このビッグな提案をすることで結婚の話がどさくさに紛れるに違いないと踏んでいた私は「うんっ♡ じゃあ結婚して、それから子作りだね♡」と返されて気が遠くなった。なぜだ。なぜ子供を作るためには結婚しないといけないのだ。いやだ。結婚したくない。
結婚するのを嫌がられてチャラヒゲは傷ついている様子だった。別にチャラヒゲを傷つける趣味はないので、私はチャラヒゲと結婚したくないわけじゃなくて、誰とも結婚したくないのだということを説明した。