とある女性から「憎らしい人」へのメッセージ

「母に愛されていたのか分からないときがある」と言っていた彼女が母に対して、こんなにもあたたかい解釈ができるのは、祖母から大きな優しさを受けて育った何よりの証拠だと私は思う。そして、彼女が最後に母と過ごした朝は今になってようやく「いい日」になれたように思えた。

それでも、私は彼女の母をズルい人だと思ってしまった。この話の全てを通して、後出しジャンケンをされたみたいなどこかズルさを感じてしまった。でも、人が亡くなるということは、そもそもズルいことなんだと思う。生前その人のことがどんなに憎らしかったとしても、いざいなくなってしまったら、残された者の憎しみは多少なりとも和らいでしまう。というか、残された者が前に進むためにはそうするしかないのだと思う。

拝啓、憎らしい人へ

お母さん、最後の最後にほんまグッジョブ。
アレが無かったら、人生だいぶ違ってたと思う。
安っぽくなるけど命がけで産んでくれて、10年間守ってくれてありがとう。何かいつも怖かったけど、お母さんが一番好きでした。

Text/妹尾ユウカ

初出:2020.07.15