整形のゴールは、意外と普通のことかもしれない

妹尾ユウカさん

美容整形を受けたからといって、特別な変化は何も起きていない。急にモテるわけでもないし、悩みはブスの頃となんら変わってない。けれど、すっぴんを見せることへの抵抗や、プールに行くときの億劫さがなくなったし、加工アプリを1つアンインストールできた。今は200万円で得た、たかがそれだけの些細な変化を幸せに思って生きてる。

自分が3年ほど前に、整形について書いたブログで「顔なんて好みがあるから、他者評価を気にして整形していたらキリがない」としたが、本当にその通りである。けれど、現実は他者評価にある気がするから難しい。

他者評価を気にして突き詰めるとゴールはないし、自己評価もさほど上がらない。かといって、自己評価だけを突き詰めようとすると、整形はどんどんショッピング感覚になっていく。新しい服を買えば、それに合ったカバンや靴が欲しくなるように。

一体、整形にゴールはあるのだろうか。考えれば考えるほど謎の自己嫌悪に陥るが、整形を行う発端は、容姿が原因でいじめられたとかフラれたとか、思い出に対する執念が多くて、大金を払い、痛い思いをしてまで手に入れたいのは、理想の容姿以上に元々美しい人が当たり前に受けている扱いや権利。取り戻したい青春だったりする。

だから、これまでとは違う扱いを受けることや、それを素直に受け取れる前向きな心を得ること。そんなほとんどの人にとっては普通なことが、整形のゴールなんじゃないかな。道のりが壮絶な割にゴールが華やかじゃないから、気付かずにどこまでもどこまでも走りつづけてしまう子もいるけどね……。

Text/妹尾ユウカ

初出:2020.01.15