誰だってセレブになりたいもの。シャネル、エルメス、ルイヴィトンで身を包み、お金持ちの旦那と夜な夜なパーティーに繰り出し、高級ワインを飲む。エレガントな生活は誰だって一度は夢を見る。
“ジャスミン”はそれを手にした。そして全てを無くした。残ったのは虚栄たっぷりのプライドだけ。
プライド故の壁、他人を蔑む自尊心、幸せへの欲求。そのすべてを根底から追求した大傑作です。
一人の女の栄光と崩壊の日々を覗いてみましょう。
もはやアカデミー賞の常連であり、一つ作品を発表するたびに話題を独占するウディ・アレン監督。今回、自ら主演せずに監督業に徹して描くのは“ジャスミン”という名前からしてすべて虚栄に満ちた女です。
彼女を演じるケイト・ブランシェットは本作でアカデミー賞主演女優賞を手にし、幸せを追い求めるがあまり精神のバランスが崩れていくキャラクターを悲喜こもごもに体現。
アレック・ボールドウィン、サリー・ホーキンス、ピーター・サースガードといったキャストが脇を固め、ウディ・アレン節“闇”を笑いに落とし込む人間ドラマが繰り広げられます。
虚栄に満ちた女の転落を描いた辛辣なヒューマンドラマ
【簡単なあらすじ】
エレガントな女性が一人、サンフランシスコの空港に降り立つ。彼女はかつてセレブリティ界に出入りしていたジャスミン(ケイト・ブランシェット)。裕福な実業家・ハル(アレック・ボールドウィン)との幸せな生活もつかの間、彼の逮捕と自殺によって資産をすべて失ってしまった。
行き場のない彼女は、庶民的なシングルマザーの妹・ジンジャー(サリー・ホーキンス)が住む質素なアパートに身を寄せることになる。
貧乏になったにも関わらず、セレブ時代のプライドだけが生き残っているジャスミン。過去の栄華に囚われてしまい、慣れない仕事と乏しい生活に疲れ果て、次第に情緒不安定になっていく。
やがて精神が窮地に立たされた頃、エリート外交官の独身男・ドワイト(ピーター・サースガード)と運命の出会いを果たす。
彼女にとって理想の再婚相手のドワイトに好かれようと嘘を並べ、虚栄に満ちた“ジャスミン”を作り上げていくが——。