窒息してしまうほどの恋とは?

 これはフィクションなのか?まず、そんな疑問がわいてくる。
それほど生々しい描写が多く、顔のクローズアップの連続で心地よい窒息に陥ってしまう。それは誰かを想う時の息苦しさに似ている。
アデルがエマに一目惚れし、運命的な出会いを果たした時からアデルの窒息を共有してしまうのです。

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと アデル、ブルーは熱い色 ジュリー・マロ Blue is the warmest color アブデラティフ・ケシシュ レア・セドゥ アデル・エグザルコプロス サリム・ケシゥシュ モナ・ヴァルラヴェン ジェレミー・ラユルト コムストック・グループ レズビアン パルムドール スティーブン・スピルバーグ ラブストーリー 耽美 恋愛 セックス 2013- WILD BUNCH – QUAT’S SOUS FILMS – FRANCE 2 CINEMA – SCOPE PICTURES – RTBF (Télévision belge) – VERTIGO FILMS

 一目見て忘れられなくなったあとに、エマと再会するシーンが印象的。音楽が爆音で流れるバーは非日常的で、独特な雰囲気を持つ青い髪のエマにピッタリの空間。
彼女との出会いはバーと同じくある意味非日常で、女子グループと男子の話題で戯れる退屈な日常を打ち壊す衝撃なのかもしれない。

 哲学的で知性溢れるエマに惹かれていくアデルの表情が生々しい。想いが募るほど、淋しい感情が沸き立ち、エマと距離が生まれてしまう悲しさを鑑賞でなく、体験してしまう。
それほどまで本作は吐息がすぐ傍で聞こえ、突然始まる喘ぎ声はまるでその場で鳴っているかのよう。

ただ、そこに在る愛を切り取る

 実はこの映画、カメラの存在をまるで感じない。
こんなラブストーリーはあっただろうか…。まるで隠しカメラのようにアデルとエマの生活を追っている。それが特別な関係でも、特別な感情でもないと言わんばかりに、どこにでもある風景のように切り取っている。

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 二人の関係を妨げるのは世間の蔑む目でも、同性愛でもない。
二人に距離を作るのは、多くの恋愛映画で描かれているような心のすれ違い。

 教師を目指すアデルの道徳と、画家のエマの芸術。その二つに寄り添うようなセックスシーンは過激とはいえ、美しさの方が勝る。彫刻のような裸体が映っている。
同性愛を一切特別視しない描写が最後まで続いている。二人の絡み合う身体に淫靡な要素は無く、耽美しかない。

 ただそこに在る、二人の女性の恋愛を映し出すという独特な手法が成功している。
愛されていないと実感する時の切なさ、それを解消しようとすればするほど遠のいていく淋しさ。

 エマが発した「人生に偶然はない」の言葉を裏返すと「人生は必然である」。
恋の終焉すら必然であるとも受け取れるセリフ。非日常は続かない。いつか終わる夢。
それこそが青春なのかもしれません。