偽りの愛が連鎖反応していく
嘘をつくと、副産物の嘘がたくさん生まれる。それと同じく、嘘の愛にもたくさんの嘘が生まれてしまう。
イーファンはジユ目的でフェンユーに近づくが、そこで自身の気持ちの変化に気付いてしまう。ジユも彼の心の動きを察知し、物語は恐るべき展開へ持ち込まれていく。嘘が嘘を呼び、本当の愛を邪魔していくのです。
「恋愛ゲーム」とは、なんて気高く薄汚れた響きでしょうか。そんな大人たちのすぐ傍で、ベイベイと彼女を想う貧乏学生・ダイの純愛が描かれる。偽りの愛と真実の愛が隣接すると、真実は嘘に浸食されていく。ベイベイを狙うイーファンと、階級の違いに為す術もないダイ。
金持ちの恋愛ゲームで好きな人が奪われるなんてたまったもんじゃない。ベイベイとダイの恋愛に感情移入する人は少なくないでしょう。
やがてイーファンが階級、世代、真実と嘘を超えた愛に辿り着いた時、その愛が衝撃的なクライマックスとなって暴発してしまう。
彼が本当に愛したのは誰か? 女の心を弄ぶプレイボーイに愛することが許されるのでしょうか。
偽りの愛が連鎖反応し、彼が弄んだ分、その結末は極めて残酷なのです。
チャン・ドンゴンのイケメンっぷりは恐ろしい説得力
血気盛んな役柄で知られるチャン・ドンゴン。今回は血の色を一切見せない沈着冷静、色気たっぷりのスマートな子爵を演じています。
このイケメンっぷりには誰もがお手上げでしょう。何事にも動じず、人生何周目かしているような達観ぶり。堂々とした余裕で、お金持ち。そしてイケメンという揺るがない事実が、イーファンのモテモテキャラクターの説得力を強めます。
そんなイーファンも、やがて恋愛ゲームの中で目に涙を溜め、泣き叫び、心が搔きむしられる。
嘘の愛の前ではキザな男を演じられても、真実の愛の前では感情が怯む。情けなくなる。どんなにイケメンでも、美女でも、恋愛ゲームができる身分ではないってことなのでしょうか。
お金と女と身分で霞んでいた真実の愛。他人の心を弄んでいたイーファンが自身の愛に気付くことによって、本来の人間の心を取り戻していく。これはある意味、イーファンの成長の話なのかもしれません。