等身大の主人公がラブグッズの開発に目覚めるまで
やりたいことがあるのに、それをやる場所が見つからない――。
茜のキャラクターに共感する女性は多いかもしれない。
デザイナーという夢と、彼氏を失ってお先真っ暗な現実。「この先どうなっていくんだろう?」という不安を抱えながら生きている茜の気持ちに寄り添って観てしまうため、ラブクラフト社で繰り広げられる光景に、彼女と一緒になって戸惑ってしまいます。
飲み会の席で仕事の話をするのは日常茶飯事のこと。でも、さすがにバイブ片手に話しているのは見たことがありません!
ラブグッズと聞くと、卑猥で恥ずかしいものと思ってしまう人もいるかもしれない。だけど、性は食と同じくらい重要なもの。最初は葛藤していた茜が、社員の情熱と顧客の満足を知り、ラブグッズ製作に奮闘する姿は美しいのです。
自らがデザインしたウサギのバイブレーターの完成品を手にして喜ぶ茜。「よくやったな」と褒める田村。これだけの情報ではちょっとシュールな光景ですが、与えられた環境でデザイナーとして精一杯結果を出す茜の姿は輝いているし、応援したくなります。
潤うのは下半身だけじゃない?
多くのお客様の喜びの声に支えられる中、毎日11時ぴったりに会社に「ご意見」電話をかけてくる通称“11時おばさん”。彼女の正体は、仕事に燃え始めた茜の成長模様とともに、ドラマチックな要素として物語に絡んできます。
いくら仲の良い友達同士でもラブグッズの話はできない。恥ずかしいから通販で済ませるなど、顔が見られないように購入する人も多いでしょう。
デリケートな商品だからこそ、デリケートに扱わなければならない。そんな社員たちの気配りと情熱の向かう先は、よりよいセックスライフ。その生活は愛に溢れている。潤うのは下半身だけじゃないのです。
そして、気になる教育係・田村との関係は……?もちろん、イケメンがそのまま放置されるはずがありません。
恋人も職も一気に失った26歳の働く女子の希望として、この結末は誰もが望むことなのかもしれません。