ストーリー
フランス人写真家のマリオン(ジュリー・デルピー)は恋人と別れ、一人息子とニューヨークのアパートに住んでいる。
同居人はボーイフレンドのミンガス(クリス・ロック)。お互いを理解し合って何不自由なく暮らしていたが、パリからマリオンの父、妹、その彼氏がニューヨークを訪れ、2日間滞在することに。
セックス、人種問題、そして仕事にも恋愛にも影響を及ぼす彼らのせいでアパートは大混乱。
突然の “モンスター”たちの破天荒ぶりに、仲の良かったマリオンとミンガスの間に大きな溝が生まれてくる――。
その恋愛は、子どもに見せられる恋愛ですか?
幸せに過ごすはずの恋人との2日間が、3人の刺客によって完全に荒らされます。
まるで空気を読まない父。セックス及び恋愛の感覚がぶっ飛んでいる妹。こっそりマリファナを注文する妹の彼氏(しかもマリオンの元カレ)。
そこでは心ときめくセリフもシチュエーションもぶち壊され、その欠片が笑いとなって鋭く飛び交ってくる。
下ネタ交じりの赤裸々トークに笑いつつも、笑っていいのか分からない危険なジョークに困惑するのはマリオンとミンガスだけじゃない。
ミンガスが持つ第3者視点で、観客の私たちも気持ちを共有できる、新感覚の参加型・恋愛映画なのです。
ジュリー・デルピー監督の作風は、古典的ロマンチックコメディをなぞっていて実に正統派。なのに、どこかが確実に狂っている。言ってしまえば、ウディ・アレンを女にして、凝り固まった頭をお湯に浸からせて、その上からローションをかけてみたような…。
乱暴な表現だけど、その緩さとエロさと狂いっぷりが今までにない恋愛映画を作り出しています。
冒頭、子ども向けの人形劇が始まる。
「マリオンとミンガスが出会って、付き合って……」などと劇中のストーリーをなぞるが、その後の恋愛は子どもには見せられないものばかり。教育番組とはかけ離れた“恋愛”という行為をシニカルに暗示し、刺激的なのです。
そして、ヴィンセント・ギャロの無駄遣い。
いや、無駄ではないけど、さりげなく大物を登場させる大胆な演出がニクい!