恋をするために、永遠の命を捨てた天使のお話 『ベルリン・天使の詩』
次に紹介するのは、巨匠ヴィム・ヴェンダースの1987年に公開された名作。のちにニコラス・ケイジ×メグ・ライアン主演の『シティ・オブ・エンジェル』でリメイクされました。
ストーリー
様々な人々の心のつぶやきが耳に入ってくる天使ダミエル(ブルーノ・ガンツ)は、今日も街に生きる人々の姿を空から見下ろす。
多くの人のつぶやきに導かれ、サーカス小屋に立ち寄ったダミエル。そこで空中ブランコの練習をする人間の女性マリオン(ソルヴェーグ・ドマルタン)に恋をする。「彼女を愛したい」という気持ちから親友の天使カシエル(オットー・ザンダー)に人間になることを打ち明けるが、それは永遠の命を捨てることだった――。
天使が美しいとは限らない?
この映画に登場する天使は残念ながらオジサンです。でも、人間の女性に恋をして「人間になりたい」と決意する天使は、たとえオジサンであっても素敵なものです。
マリオンに心を奪われ、彼女の周囲をうろついては天使の友人に想いを打ち明ける姿はちょっぴりカワイイとすら感じるかもしれません。いや、感じるに違いありません。
恋には年齢も身分も関係ない。ヴィム・ヴェンダース監督独特の詩的で耽美な世界観の中に、あなたにとっても身近で大切な“恋”というテーマを感じ取れるはずです。
恋を知った者だけが感じる、この世界の美しさとは
この映画の最大の魅力は、色彩の違いにあります。天使目線では世界がモノクロで映し出され、人間目線になるとカラーになるのです。それは死と引き換えに人間になることを選んだダミエルの心理描写が色濃く反映されており、色彩の美しさに無邪気に喜ぶ姿はオジサンなのにカワイイのです。
恋をした瞬間、世界が美しく感じられることってありませんか?
この映画全体で描いているのは、まさにその恋をした瞬間の感動なのです。
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『ベルリン・天使の詩』【デジタルニューマスター版】
DVD発売中
価格:3,990円(税込)
発売元・販売元:㈱東北新社
※DVD発売情報は2013年4月現在のものです。
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