こんな経験はないだろうか。
「こんな動画撮ったんだよね」って友人に携帯を見せている時、ふと見られたくない通知が表示されて気まずくなったり。
彼氏と携帯で撮った写真を見せ合いっこしている時、別の男性からLINEが届いたり。
見られた方も見せられた方も、あえて触れないようにしていても気になってしょうがない。
本作はそんな“携帯あるある”と、それにまつわる“おとなの事情”を余すことなく描き切っている。
イタリアの権威ある映画賞ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で最優秀作品賞と脚本賞を受賞した、パオロ・ジェノヴェーゼ監督が手がけるコメディ作品。
出演は『ある海辺の詩人 小さなヴェニスで』のジュゼッペ・バッティストン、『天使が消えた街』のヴァレリオ・マスタンドレア、『ハングリー・ハーツ』のアルバ・ロルヴァケルなど、イタリア映画界を支える実力派が揃っている。
スピーカーモードにはご注意
満月の夜、その夕食は楽しいはずだった。幼馴染、親友、夫婦。それぞれ新婚、独身、倦怠期など状況は様々でも、愛に溢れた会合に変わりはなかった……互いに携帯を見せ合うまでは。
「隠し事がない私たちは携帯を見せ合いっこしても平気よね」という希望的観測から始まった恐怖のゲーム。すると、コシモは浮気相手から電話がかかる。レレは秘密を隠すために携帯をトレードする。ペッペは誰にも言えない事情が暴かれる。
何でも話せる仲でも話せない事情を抱えている。それらが明るみになる光景は、端から見るとこんなに楽しいものなのか。当の本人たちが爆弾を抱えたように冷や汗をかくが、その度腹を抱えて笑ってしまう。
男性陣が恥をかく一方で、女性陣も満たされない欲求を求めるがあまり秘密を抱えている。
携帯ってこんなに危険なものだったのか。セリフに「携帯は生活のすべてが記録されたブラックボックス」とあるが、その通り。
スピーカーモードにされた携帯からは、電話主の相手の声が丸聞こえ。向こうにとっては、さすがに男女7人がニヤニヤしながら聞いているなんて想像が及ばない。まったく危険な機能である。
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