完璧な人間なんていない。でも、映画には時折、完璧な人間が出てくる。なぜか絶対に死なない大統領や、テロリストと戦える大統領、宇宙人を倒すために戦闘機に乗る大統領…と、なぜか全員大統領だが、そのヒーローたちが持ち合わせていない魅力がブリジットにはある。それは共感性だ。
アラサー独身女性のホンネを描いた人気シリーズ『ブリジット・ジョーンズの日記』が三作目に突入し、ブリジットもついにアラフォーになった。監督は1作目を手がけたシャロン・マグワイア。前2作に続いてブリジット役をレニー・ゼルヴィガー、元恋人のマーク役をコリン・ファース、そして新たに出会うイケメンIT企業社長のジャック役をパトリック・デンプシーが演じる。
イケメン二人の奮闘っぷりが面白い!
ブリジットは情けなくて恥ずかしくて無様。でも、いつも純粋でバカ正直に生きている。応援したくなる。これはダメな彼女でも愛される理由だろう。もう一度言う。たとえダメな彼女でも。ここまでダメダメ言うのは、なんといっても今回は“どっちが父親か分からない”妊娠をするのだから。
マークとジャックの双方にそれを言い出せず、自ら判断するためにDNAを採取したり、病院の先生に協力を仰いで演技をしてもらったり。友人や仕事仲間といった周囲を巻き込んでいくスリリングな展開にお腹を抱えてしまう。
父親候補が二人という状況がマークとジャックの闘志を燃やし、イケメン二人が自分のために争う展開は、彼女にとってある意味最高の景色が広がってしまう。些細なことで競い合うコリン・ファースとパトリック・デンプシーという英・米きっての知性溢れるハンサム俳優たちが、まるで子宮に向かって突っ走る精子にしか見えない。彼女にとって最良の“優しさ”を男二人が追求し、奮闘する姿が笑えてしょうがない。
父親は一体どちらなのか。それ以前に、ブリジットは自分にとって良きパートナーを見つけることになる。それはお見合いサイトの相性チェックのパーセンテージでは決して表せない、心と心の触れ合いから答えを出す。
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