天然イケメン・ケヴィンの存在が女性の地位を反転させる

たけうちんぐ ゴーストバスターズ 映画 ホラー アクションコメディ

 何と言っても笑いを誘うのは、ゴーストバスターズの電話受付担当の天然イケメン・ケヴィン。演じるのはアメリカで最もセクシーな男性とされ、『マイティ・ソー』のソー役などでトップスターとして名の知れたクリス・ヘムズワース。
頼んでもないのにゴーストバスターズのロゴを考えてきたり、その会社名を忘れたり、「イケメンの無駄使い」っぷりが半端ない。

 そもそも登場する男性の99%が役立たずで、むしろ足を引っ張る。ケヴィンはエリンの「可愛いから、いるだけでありがたい」という目の保養のためだけに存在している。
ケヴィンの立ち位置は従来の作品なら女性が演じていた。これは今までのハリウッド映画の配役の男女比を反転させている。

 本作の公開決定のニュースが出回ると、アメリカ中はたちまち大批判の嵐。「なんで主人公が女で、しかも若くないんだ!」と。まるでエリンが「ゴーストはいた!」と吠える投稿動画がバッシングを食らったように、本作の予告編の動画には多くの低評価が付いた。

 最初はみんなバカにしていた。それでもコンサート会場に現れたゴーストを実際に捕獲すると、世間の目は一気に変わる。登場人物たちが当初は「ゴーストなんているわけがない」と鼻で笑われるように、作品を観ていない連中が勝手に「駄作だ」と決め付けていた。
本作はまるでメタフィクションとして現実を取り巻く環境を「それ見たことか!」と見返す。そして潜在的なアンチ・フェミニズムをひっくり反すように、女性たちの新生ゴーストバスターズが新しい時代を象徴するかのように活躍するのが痛快なのだ。

 目に見えないモンスターを描いているとはいえ、「本当に怖いのは人間」なんて説教臭さが一切ない。
ひっきりなしに上げたテンションを持続させるジェットコースタームービー。いや、ゴーストの体液が入り混じる、ドロッドロのスプラッシュマウンテンなのかも知れない。

ストーリー

 コロンビア大学で教鞭をとるエリン・ギルバート(クリステン・ウィグ)は、超常現象研究家のアビー(メリッサ・マッカーシー)とふとしたトラブルがきっかけで再会する。アビーの相棒・ホルツマン(ケイト・マッキノン)とともに幽霊が出るという屋敷に忍び込み、そこで録画した「ゴーストはいた!」と叫ぶ動画がネットに出回ったことでエリンは大学をクビになる。

 やがてアビーとホルツマンと地下鉄で働く駅員・パティ(レスリー・ジョーンズ)とともに、幽霊退治を行う“ゴーストバスターズ”を結成することになる。
コンサート会場に出現した幽霊を捕獲したことで大手柄を得た彼女たちだが、幽霊騒ぎの背景にはある黒幕が潜んでいた。ニューヨークの地下から世界を転覆させようする恐ろしい計画を知り、ゴーストバスターズは史上最大の戦いに挑む――。

8月11日(祝・木)~14日(日)先行公開!
8月19日(金)3D/2D 全国ロードショー

監督:ポール・フェイグ
キャスト:クリステン・ウィグ、メリッサ・マッカーシー、ケイト・マッキノン、レスリー・ジョーンズ、クリス・ヘムズワース
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
原題:Ghostbusters/2016年/アメリカ映画/115分
URL:『ゴーストバスターズ』公式サイト 前売り券
Text/たけうちんぐ