最初は感じ悪い女だと思っていたのに……。
ロードムービーなんて山ほどある。だいたいは目的や行き先が決まっていて、そこにたどり着くまでの過程が描かれる。だが、この映画にはそれがない。さらに言うと、旅を始めてすぐに「バカなことをした」と後悔する。もっと言うと、オープニングから靴を岩山から投げ出す……ってマジかよ、おい!(笑)
1600キロの1キロを歩いた時点でくたばるシェリル。ここで彼女がどこにでもいる普通の女性であることが分かる。何のトレーニングもせず、経験もない。衝動的に現実から抜け出そうとする姿に、観る者誰もが「何があったの?」と興味が湧く。
自分の身丈より大きなバックを背負うと、そのままのけぞって後ろに倒れてしまう。「バカなことをした」と旅を後悔する彼女に、観る者も「バカすぎる」と笑ってしまう。しかし、そこからフラッシュバックする過去が全く笑えない。シェリルがいかに母を想い、心の拠り所にしていたか。そして母を亡くした喪失感が、いかに苦しいものか。
( c )2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.
正直、映画の序盤でのシェリルの好感度が悪すぎた。夫は裏切るし、自分勝手だし。それでも、物語が進むにつれてどんどん感情移入し、最終的には好きになってしまう。