「自分が 1 番何に傷付いてきたか」はいつか情熱につながる/いつまちゃん×大森靖子

いつまちゃん×大森靖子対談画像

何者かになりたい、だけどどうしたらいいかわからない。
自分はこんなもんじゃないと思いつつも、何に力を注げばいいかわからない。
そんな悩める女性は多いと思います。

現在、テレビ東京で放送中のドラマ『来世ではちゃんとします』の原作者である漫画家のいつまちゃんと、主題歌を担当している超歌手の大森靖子さん。
他のジャンルにも挑戦しながら、それぞれ唯一無二の存在として活躍するお2人に、これまでの活動の道のりや、何者かになるためのアドバイスについて語っていただきました。

謎の自信はあった

──大森さんは歌手活動始めてすぐに、手応えはあったんですか?

大森

音楽を始めたばかりの頃は、ライブやっても観客はライブの対バンの人が観てるだけ、みたいな状況でした。でも、毎回来てくれる人が1人だけいたんですよ。で、その人だけ毎回号泣して帰っていく。そしたら知り合いが「ああいう人がいると売れるよ」ってずっと言ってくれて。だから、手応えっていうか、「私、売れるし!」みたいな気持ちではいましたね。

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──自信はあったんですね。

大森

謎の自信はあったけど、その頃は地獄だった(笑)。美大に通ってたんだけど、大学で喋る人いないし、教授に評価されたこと1回もないし、作品見てくれすらしなかった。卒業制作のときには男にフラれるし、地獄。

いつま

私も卒業制作のときに振られたんですよ!

大森

みんなフラれますね、卒制の時期って(笑)。

──在学中に自分のなりたい方向が決まっていたということですが、大学卒業後の生活はどうしていたんですか?

大森

当時は弾き語りで、CD は自分で焼き増しして、紙も買ってきてコピーして。それらを売ってギリギリ生活はできてました。音楽自体そこまで才能があるか分からないけど、社会性が極限までないので、普通の一般的な会社に勤めるのはもっと才能がない。これが1番食べていける方法だったんですよね。

いつま

私もそう。普通の会社だと厄介者扱いされてたと思います。

──歌手として成功できなかったらどうしようという焦りはありませんでしたか?

大森

失敗したら結婚しちゃえばいいや、みたいな楽観的な部分もあったんですよ。でも、単純に歌に対する情熱が尋常じゃなかった。ちょうど同世代が働き出す時期に差し掛かって一応焦りはしたけど、でも私は就職する気もない。そんなときに謎のエネルギーが湧いてくるんですよ。私は大学卒業と震災と自分にギターを教えてくれた人の死が全部重なって、世間は自粛モードだけど、この表現したいエネルギーは自粛できないし、自粛もなにも誰も私を見ていない! みたいな、わけわかんないエネルギーがすごいあった。そういうときありません?

いつま

あります! 私たちって、がむしゃらにやって1 番自分に合うところにたど り着けるタイプの人間だと思うんですよね。