いい友達=いい恋人、というわけではない

男女の友情って、とても絶妙なバランスの上で成り立っているものだと思います。
揺るぎない理性によって守られて、性差にリスペクトと助け合いがあってこそ。だからその歯車が狂ったり、乱れることによって、途端に成り立たなくなってしまいます。
あなたと彼が7年間友達だったということは、それだけ気を遣いながら時間を費やし、大切に築いてきた関係だったと思います。
だからこそ、別の関係、それも“ちゃんとした”関係に変化させたいのであれば、なによりも楽をしてはいけなかったのです。

あなたと彼が友達という関係のまま一線を超えてしまったのは、相談文から読み取れる限りあくまでも同意の上での行為でしょうから、どちらかだけが悪いとは言えません。
厳しいことを言うようですが、あなたたちはもう“友達”ではなく、“一回セックスをした相手”という別の存在になってしまっています。
「友達に戻ろう」と持ちかけたのがどちらからなのかはわかり兼ねますが、いずれにせよ、あなたと彼はもう以前のような友達には戻れないと思います。
それどころか、恋心の行き場がなくて苦しむのはあなたですから、たとえ表面上は上手くやれたとしても、彼が今までのように振る舞ってくれたとしても、戻るべきではないでしょう。

あなたは「友達としてとてもいい人だから」と思って交際を持ちかけたのでしょうが、友達としていい人かと、恋人としていい人かは、必ずしもイコールではないのです。

どちらの関係が優れているとか、友達は恋人に比べて蔑ろにしていい存在というわけではなく、友達に見せる顔、恋人だから見せる顔、というのは当たり前に存在し、それは生活が密接しているかどうかに関係します。
友達と言ってもいろいろありますし、もちろん考え方も価値観もそれぞれですから、個人を取り巻く環境や育ち方から、関わり方も変わってくると思います。
ですが、ほとんどの場合、友達の生活まで深く気にする人は少ないのではないでしょうか。
恋人の条件、結婚相手の条件というのはよく耳にしても、友達の条件という言葉はあまり聞いたことがないですよね。

よっぽどヤバイ仕事をしていて自分まで危険に晒されるとか、詐欺まがいの勧誘をしてきたり借金を申し込んでくるとなると話は別ですが、基本的には友達が公務員だろうが営業職だろうが大工だろうがミュージシャンだろうが関係ないですし、スマホゲームに課金しようが美容にお金をかけようが車にお金をかけようが、友達として付き合っていくことに影響はない。
性癖だってそう。相手の親のことも、家事の得意不得意も、生活習慣も、正直なところどうだっていいですよね。

しかし恋人となると、「一緒にいて楽しい、人間として好き」という感情だけで、上に挙げたことを全く気にしないか、というと、そうでもないと思います。
それこそ、友達だったら「いやー付き合ってもない人とセックスしちゃったよ!」と言われたところで自分に影響はない話ですが、付き合ってもいない人とセックスをするような人と付き合いたいか、というと「ぜひ! 喜んで!」とはならないでしょうし、なにかしら感じるものがあるのではないでしょうか。

たしかに、彼は友達としてサイコーにいいやつだったかもしれない。
一緒にいて楽しい時間を過ごせたのかもしれない。
たくさんのいい思い出があるのかもしれない。

でも、7年も仲良くやれていた女友達と簡単にセックスをして、「人間として好きだよ」なんて耳馴染みのいい言葉であなたとの関係をなあなあにしてくる人をほんとうに彼氏にしたいですか? 一度しっかりと考えてみてくださいね。

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この連載では引き続き読者の皆さまからの恋愛相談を募集します。
最後の一歩が踏み出せない方の背中をドーン!と押すため、今にも崖から落ちそうになっている人を腕一本で引き上げるため、誰かに厳しく叱られたい方の左頬をフルスイングで打つため、わたくしポジティブゴリラは日々ゴリラらしく腕力を鍛えてお待ちしております。

Text/ものすごい愛
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