どうか絶望しないで

結婚は、まったく違う環境で育った他人同士が一緒になるため、お互いが育った家庭をモデルにし、それを時間をかけて擦り合わせていく作業があります。

自分が子供の頃はどうだったかな、自分の両親はどうしてくれてたかな、夫婦とか家族ってこんなときどうするものなんだっけ、と無意識に考えてしまうと思います。

あなたは“一般的なちゃんとした家庭”というものがわからなくて自信が持てていないのかもしれませんが、それはあなたのせいではないのですから、思いつめなくて大丈夫。
あなたが結婚して築いていくのは、あなたと彼の家庭であって、あなたが今まで過ごした家庭とは全くの別物です。
あなたと彼なりの“2人が思うちゃんとした家庭”を築いていける関係性になれたらいいのではないでしょうか。

“お互いが思うちゃんとした家庭”というのは一朝一夕で簡単に築けるものではなく、価値観を擦り合わせること、相手が躓いたり足踏みしてしまったときに立ち止まって手を差し伸べてあげること、これらを何度も繰り返して徐々にできていくのだと思います。
彼は「自分が育った家庭のようになりたい」、あなたは「自分が育った家庭のようになりたくない」とお互いイメージしているものがあると推測しますが、そういった漠然としたビジョンだけではきっとあなたの不安は簡単に拭えないですよね。
だから、疑問を抱いたらそのまま飲み込んでとりあえず進んでみるのではなく、あなたの中に今まで溜めてきた心情をひとつずつじっくり掘り下げ、「こういう状況のとき両親からこんな対応をされてつらかった」「わたしは子供の頃に同じような経験をしたとき、両親からこういう言葉が欲しかった」と彼に投げかけてみてください。
彼がそれを受け止め、「じゃあどうしたらいいか一緒に考えよう」という姿勢であなたに向き合ってくれたら、お互いが居心地のいい家庭になっていくはず。
彼のご両親に話すかどうかを結婚前に彼と一緒にしっかりと悩んでいることが、“お互いが思うちゃんとした家庭”のための一歩になります。
そして、今あなたがこうやってわたしに相談してくれていることは、その一歩を踏み出すきっかけになっているように感じますよ。

どうか、結婚や家庭に絶望してしまわないでください。

自分で選べなかった環境や非がない状態で味わった辛さや悲しみというのは、もしかしたらこの先も長くとらわれ続けてしまうようなものなのかもしれません。
心の奥底にずっと渦巻いているものは何度も顔を覗かせ、それを力任せに無理矢理引き剥がすなんてそうそう容易にできることではないでしょうし、きっととても苦しいはず。
でも、その受け入れがたい過去や感情を薄く小さくすることは、決して不可能なことではないと思います。あなたがこうやって相談を送り、何か手を打ちたいと望んだように、彼と新しい家庭を穏やかに送るための思いや要望を彼に伝えて、ちょっとだけ手伝ってもらってほしいと思います。

10年後、20年後、さらにもっともっと時間が経ったときまであなたの心に悲しみがへばりついたままになっていないよう、あなたの生き方を否定せす、守ってくれる人たちとたくさん出会えていますように。

あなたの幸せを、心より願っております。

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この連載では引き続き読者の皆さまからの恋愛相談を募集します。
最後の一歩が踏み出せない方の背中をドーン!と押すため、今にも崖から落ちそうになっている人を腕一本で引き上げるため、誰かに厳しく叱られたい方の左頬をフルスイングで打つため、わたくしポジティブゴリラは日々ゴリラらしく腕力を鍛えてお待ちしております。

Text/ものすごい愛
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