恋人になると見過ごせなくなること

 男女の友情、わたしは成立すると思うんですよね。
その前提として、双方に恋心や下心がなく、たとえあったとしてもそれを最初から最後までおくびにも出さない理性があるかどうか。

 性別や年齢を問わず、一生付き合っていきたいと思える友達がいるというのは、ほんとうに素晴らしいことです。
そういう存在は、欲しいからといって手に入るものではないので、その関係と気持ちはずっと大切にし続けて欲しいと思います。

 友達って、マジで尊くないですか?
何をするわけじゃなくてもただ一緒にいるだけで話は尽きない、間違えたことをしたら本気で叱ってくれる、自分が傷ついたときに朝まで話を聞いて一緒に涙を流してくれる。
物理的な距離ができても、環境が変わっても、よっぽどのことがない限り自発的に縁を切ることはそうそうないはずです。
もちろん、これらは恋人でも当てはまることですが、なんとなく恋愛は友情よりも儚い気がしませんか?
それは、友達は恋人と違って生活が重なることはなく、お互いの生活に一線を引いているからだと、わたしは思います。

 友達だったら、部屋が汚くてだらしなかろうが、仕事ができなくて給料が安かろうが、LINEの返信がマメじゃなかろうが、自分には理解し難い特殊な性癖のド変態だろうが、関係ないんですよね。
もっと言うと、浮気性でも借金癖でも無職でも、別にいいんです。
自分に害がなく、今まで通り一緒に楽しく過ごせられるのであれば、それらは単なる笑い話です。

 しかし、恋人ともなるとそうも言ってられなくなります。
部屋が汚くてだらしのない人間だと一緒に暮らすことを考えたら不安になるし、仕事ができなくて給料が安ければその先にある結婚を考えにくくなる。
いつまでたっても連絡が来ないと浮気をしているんじゃないかと不安にもなるし、特殊な性癖の持ち主だとそれに自分は応えられるのだろうかと悩んでしまう。
浮気・借金・無職だなんて言語道断、普通だったら恋愛対象から真っ先に除外する人が多いはず。

 友達同士と恋人同士では、見える景色はまるで違います。
友達のときは気にならなかったことが、恋人になった途端いろいろ気になり出したり、どんどん要求が増えたりすることは避けられないこと。

 恋人同士になって生活が重なり、今まで引いていた一線がなくなることで、見えていなかった男と女の部分が見えてきてしまい、上手くいかなくなってしまう可能性もあるのです。

 もちろん、友達から恋人同士に発展して上手くいく人たちもたくさんいるので、一概に上手くいかないとは決めつけられないですけれどね。