「結婚前よりモテるよ」の謎
「結婚して良かったこと? モテるようになったことかな。」
冗談とも本気ともとれる笑顔でそう言ったのは、高校時代の友人だった。
結婚2年目、子供なし。独身時代はいつでも5センチ以上のヒールを履き、髪も欠かさず巻いていた彼女のその日の装いは、ジーンズにスニーカーというラフなもの。それでも彼女の「今、モテる」が嘘ではないことは、その場にいた全員が納得していた。
彼女に限らず、結婚してからの方がモテる、と言う既婚者は多い。それまで身なりにあまり気を使わなかった男性が、奥さんの手腕で健康的に痩せたり、髪型や持ち物が変わって垢抜ける例がわかりやすいだろうか。
余談だが、そういうタイプの男性は2種類に分かれるように思う。愛妻家か浮気者だ。後者の中でも特に、若い頃から遊び慣れていないタイプは悪質だ。駆け引きや引き際が下手くそなため、周囲を傷つける場合が多いように思う。
さて、外見的な魅力が増すことは、言うまでもなく恋愛に有利だ。しかし女性の場合、結婚後に見違えるように華やかさが増すケースは稀である。それでも異性を惹きつける魅力が増すのはどうしてなのだろう。
モテ市場から退場する、たったひとつの方法
現代、「モテ」が社会の必修科目になっている気がする。本人がモテたいかどうかに関係なく、わたしたちは強制的にモテの市場に並ばされてしまう。そして、年齢・容姿・年収などを永遠に比較され続ける。
あらゆることには向き不向きがある。足が遅い人、絵が下手な人が存在するのと同じように、モテない人も当然いる。小学生の頃ならともかく、大人になっても足が遅いことを気にする人は少ない。
けれど、「モテない」ことは圧倒的にコンプレックスになりやすい。なぜならそういう市場に立たされているからだ。特に女性への圧力は顕著だ。雑誌に並ぶ、モテコーデ・愛されメイク・好感度(5・7・5)。「モテなければ女性に非ず」とも言いたげだ。
そんなモテ市場から退場する方法はひとつしかない。そう、結婚である。