現実の「かのん」は、病院エンドになりかねない
- 米代
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ぱぷりこさんに相談してくる女子にも、かのんのような人はいますか?
- ぱぷりこ
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いますいます。相手を信仰しているタイプは、どんなに話を聞いても、相手のことが全く見えてこないんですよね。
「彼は私のことをすごく大事にしてくれてる!」「こういうところが素敵!」って話をえんえんとしてくるんだけど、こちらからすると、「いや、それはモラハラでは……?」というような事案。
あまりにも相手が見えないので実際に会ってみると、目が全然笑ってなくて「こいつって馬鹿だよなー」と見下していたりするんですが、彼女側は「愛あるいじり」だとポジティブ変換していたり……。
- 米代
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(笑)。私は1巻の時点で境先輩のことを「こいつは絶対に性格が悪い」と思いながら描こうとしていました。
でも、担当編集さんとはかなり対立したんです。「そんなキャラクター、読者もかのんも好きになれない」「米代さんはそういう人、好きなの?」と言われたんです。それはたしかにその通りだったんですよね。
1巻の段階で境先輩の描写をネガティブにしていたら、読者も受け入れてくれなかっただろうと感じます。3巻まで描いて初めて、私と担当さんの二人ともが「今だったら境の裏側が描けるかも」と思えた。
- ぱぷりこ
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それでも先輩は、かのんにとって神じゃないですか。だけど、かのんはちゃんと先輩に思ったことを伝えて、怒れるようになったのがえらい。
- 米代
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そうなんですよね。エンタメだしフィクションなので、読者の方がカタルシスを得るためにも、主人公には成長してもらわないと……と思って。
- ぱぷりこ
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ふつうは神には怒れないですから。現実の「信者」女子は、神に捨てられる瞬間になっても「私が悪いのかな……」と呆然と立ち尽くして、最終的には病んで病院に行くことが多いんです。かのんのような子は、超少数派だと思います。最近来た相談でも、「彼氏が3人とも妖怪男で、3回とも入院しました」っていうのがあって。「ノー」って怒れる人は本当に少ない。だからこそ、『カノン』、いろんな人に読んでほしいんですよね。
不倫のお焚き上げ、結構来てます
――いわゆる「文春砲」の盛り上がりや『あなそれ』などのヒットを通じて、世間では「不倫」が話題にのぼることも増えてきたと感じます。お二人の周辺ではいかがですか?
- 米代
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私は取材をかねてお話を聞かせてもらうことはあります。でも、周りの友人にはいないような……。アシスタントの女の子が「アラサーはほぼ不倫か、セカンド」と言ってましたけど(笑)。
そういえばこの間取材の一環でキャバクラに行ったら、ハイスぺ男性と絶賛不倫している子がいて。
――キャバ嬢の不倫話をお店で教えてもらえる機会はなかなかない(笑)。
- 米代
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その子も、最初は「この人何なの?」と思ってたんだけど、いきなり海外に誘われて、どうせ口だけだろうと思ってOKしたら翌日本当にパスポートの番号を訊かれて……という流れで、あれよあれよという間にそういう関係になってしまったそうです。
奥さんのことは、あえて考えないようにしていると言ってましたね。「どうせ別れて私と結婚したとしても、私みたいな不倫相手をまた作るだろうから」って。20代前半の子です。
- ぱぷりこ
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会った翌日にパスポート番号を聞くっていうのは、「港区男子」あるあるですね。自分では割り切ってるつもりでも毒素をためていく子は多いので気を付けてほしい。
- 米代
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そうですね。15分お話ししただけでも、「本当に割り切れてるのかな」とは心配になりました。ぱぷりこさんは周りからお話聞くことありますか?
- ぱぷりこ
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多少は。
不倫していることって、直接の友達にはあんまり言わないですよね。だいたいは「不倫は良くないよ」となりますから、その段階で言わなくなってしまうことが多い。
私の場合はだいたいの話は言われても引かないし、倫理や社会常識を持ち出して「不倫はダメ!」とは言わないので、話してくれる方が比較的多いのかなと思います。
- 米代
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お焚き上げnote(※ぱぷりこさんが行っている恋愛相談)でも来てますか?
- ぱぷりこ
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定期的に来ます!でも、「非公開」希望で相談が来るので、noteでオープンにはなってないものが多いんです。匿名なんだけど、ばれたらどうしよう……と思っているようで。
私からすると、本当にたくさん相談をいただいているし、だいたい同じような話なので、ばれないよと言いたいんですけれど(笑)。