「恋人を大事にしなければいけない」という呪い/朽木誠一郎

 終わった恋の足跡を辿る、忘恋会2016。
今年の締めくくりにふさわしいとっておきの恋愛納めコラムを厳選してお届けします。
一旦ケジメをつけて、来る2017年の新しい恋に備えましょう。

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 はじめまして、ライターの朽木誠一郎です。「忘恋会2016」というテーマで寄稿の依頼をいただきました。ありがとうございます、ふざけてんのか。

 AM編集部には仲の良い編集者がおりまして、なぜ僕が「終わってしまった恋の話」を書けと言われたのかは推して知るべし、です。

 さて、本題に入りましょう。恋人は大事にするべきもの、それはその通りです。でも、それが行き過ぎると、失敗を繰り返してしまうのではないでしょうか。

 もしあなたが恋人を大事にしているつもりなのに、恋人に大事にされていないように感じるなら、そのあたりに問題があるのかもしれません。

「尽くしてくれる」女の子と「恋愛クズ」だった自分

 僕は過去にかなりの恋愛クズだった時期があります。当時付き合っていたのが、いわゆる「尽くしてくれる」タイプの女の子でした。

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 4〜5年に渡る同棲期間中、彼女は朝晩の食事の準備や、田舎だったので車の送り迎えなど、何でもしてくれたし、浮気がバレたときも(表面上は)許してくれました。

 よく追う恋愛・追われる恋愛と分類されますが、当時はまさに追われる恋愛でした。そして、ウサギとカメの寓話のように、追われる側というのは調子をこきがちです。

 日増しにクズ度の増す僕に、彼女はよく、「こんなに大事にしているのだから、もっと大事にしてほしい」と言いました。

 さすがに罪悪感を覚えたので、ある年のクリスマスイブ、彼女の好きなディズニーランド旅行をプレゼントすることにしました。ディズニーホテルのお泊り付きです。

「これで許してもらえるだろう」と思っていたのが僕の浅はかさ。積もりに積もった不満は最悪のタイミングで噴き出しました。エレクトリカルパレードです。

 シンデレラ城近くの抜群のロケーション、キラキラ輝くミッキーの乗り物の前、彼女は突然「どうしてあんなこと(浮気)したの?」と言いました。

 僕はやはりクズだったので、そこからは大ゲンカです。結局、それをきっかけに別れ話が始まりました。ついに愛想を尽かされてしまったのでしょう。

 最後に「あなたとは一生関わり合うことのない他人になりたい」というメールが送られてきて、彼女とは以降一切の関係を絶たれました。もう10年近く前のことです。