けじめをつけてまで不倫したいのなら……

『あげくの果てのカノン』 米代恭 小学館 月刊!スピリッツ メンヘラ 不倫 SF 米代恭/小学館 月刊!スピリッツ連載中

――2巻では、かのんが境の妻・初穂と対面し、緊張感が高まっていきます。不倫ものというのは隠れて進行してやがてばれるイメージだったので、「こんなにすぐ気づかれちゃってるの!?」と驚きました。

米代:そうなんですよね。本当に考えなしなので、そうなってしまいました……。

――しかも、初穂さんが結構いい人なのが明らかになっていって、かのんがだんだんイヤな子に思えてくるという。初穂と境のなれそめから、だんだん気持ちが冷めていく過程が描かれているのが本当につらかったです。

米代:初穂の過去は描いていて楽しかったです。私は単純に幸せなだけの恋愛を描くのは苦手なんですが、あとから崩れる幸せな時間を描くのは好きなんです。

――さらっと怖いことを言っている(笑)。

米代:ただ、初穂のエピソードを描くにあたって「『結婚』について考えて」と担当さんに言われたんですけど、それはつらかったですね。頭がちぎれるくらい考えたのに何もおもしろいことが思いつかなくて。まわりで結婚したばかりの人もいないし、結婚式とかも出たことないし。いろいろな映画や書物の知識を組み合わせて描いたんですけど、「可もなく不可もないね」「それじゃつまんないね」と言われてしまいました。

――結婚についてはともかく、結局、米代さんは「不倫」のことはどう思っていますか?

米代:けじめをつければ好きにしたらいいんじゃない?と思っていますね。

――「けじめ」ですか。

米代:結婚までしている人間との恋愛は、他者の尊厳を傷つけることだとは思っていて、それをするからにはけじめが必要だと私は感じます。でも、その尊厳を傷つけて、かつけじめをつけてまでやりたいのなら、外野が止めることではないのかなと。