地雷を踏む笑い

殺意を招く笑いというのは相手が大切にしていることを笑ってしまう場合に起こります。
生きていると誰だって隠したいことや恥ずかしいことの一つや二つあります。
馬鹿にして欲しくないこともいくつもあります。
その地雷のポイントは人それぞれです。
その点を不用意に笑ってはいけません。

笑うということは感情的な行為だと思われがちですが、非常に理性的な行動であると思います。
本来こうであると自分で思っていることとの落差を感じて笑うのです。
だからお笑い芸人さんは本当に破天荒な人はなれません。
常識や共通認識を十分に理解していないと落差に気付いたり、落差を生み出したりすることができないからです。
笑うということは実はその高低差を感じて笑う理性的な行為なのです。

だから大切なもの、晒されたくないことを笑われると笑われない場合に比べて何倍もムカつくのです。
特に若い人が年長者を笑うというのは気を付けたほうが良いです。
人生経験が長いとそれだけ地雷も増えます。
それを無神経に「ウケる」なんて言おうものならそれだけキレられるリスクが増えていきます。

状況に応じた適切な表情を心がけよう

私はいつも笑顔であるという必然性は感じていません。
相手の地雷を踏まないよう注意して、何か目的がある場合に意識的に笑うようにしています。
もしくは気心が通じた友人といる時や一人の時に笑います。

それ以外は怒っているとも悲しんでいるとも取れない顔、一般的に神妙な顔と表現されるものが非常に大切になってきます。
こういう顔は映画等の主演ではない人々の顔を大いに参考にしましょう。
特に日本映画のバイプレイヤーさん達のなんとも感情を捉えられないような顔は日本社会で生き抜くためには大いに役立ちます。それが大人のする顔だからです。

より好感を持たれたい社交的なシチュエーションなら口角を上げて嘲笑ではないというのが明確な作り笑顔を研究しましょう。
面白いとは関係なく、あなたと一緒に居て嬉しい、楽しいを表現する笑顔。
これは大いに研究した上で、社交的な場で使ってください。
私もお店では極力この顔を心掛けています。

適切なシチュエーションで適切な表情ができる。
いつも笑顔でいるよりとても大切なことであると私は思うし、それが良い女、良い男の条件だと思うのですよ。ほほほ。

Text/肉乃小路ニクヨ

次回は<好きな服を着ればいい。けれど人は服に左右されることもある>です。
銀座の小学校でアルマーニの高額な制服を導入することに対し、賛否両論が巻き起こりました。好きな服を着ればいいのか?それとも、TPOに合わせた服を着ればいいのか?ニューレディーの肉乃小路ニクヨさんの考えは。