地図の読めない女装

 港の近くで地図を入手し、観光案内を見ましたが、よくわかりません。ニューレディー、実は地図と現在地を合わせるのが苦手です。
野生の勘に頼り、港の近くにあったレンタルサイクルを借り、適当に太陽へ向かって走り出しました。

 南に行くと石の浜がずっと広がっていました。
選択は正しかったです。
透き通って美しい海の青と空の青と、こんもり見える緑の島影が太陽でキラキラ輝いていました。
こういう見たことの無い色彩や景色は新しい感覚として、いつかあなたのセンスの一部として役に立つ日がきます。

 山の上からも景色を見てみたいと思いフラフラしていると、「重岩不動コチラ」みたいな看板が見えました。
観光案内には確か、ちょっと高台にあると書いてあったことを思い出し、フラッと行ってみようと自転車で向かいました。

「重ね岩」は有名なパワースポットだったようで結構高い山の頂上にありました。自転車で行く所じゃないです。
瀬戸内海の島々はこんもりとしているんですね。
というのも、勾配が結構急なんです。これも現地に行かなければわからないことですね。途中まで自転車で行き、その後はほぼ山登りでした。

 苦労の末に見えた重ね岩はとても神々しく、何年か経ったらこんな無茶な所に来れなくなるかもしれないと思うと、とてもありがたいものに思えました。
そしてこんな大変な所まで道を整備してきた人がいると思うと、その思いの熱さが心に沁みわたるのでした。

感傷に浸る間もなく旅立つ女装

 でも感慨に浸っている時間はありません、私は今晩高知のホテルを取っているのです。移動せねば、ということで急いで港に戻ります。

 途中、島の繁華街で物価や陳列品をチェックしました。
勉強不足でしたが、小豆島は大きな島で、物価や物量は高松とあまり変わらないということに気がつきました。
そして私は、おつまみとお酒を買い込み、フェリーに揺られ、高松港→高知へとバスで向かったのでした。

 来週に続く。

Text/肉乃小路ニクヨ