「つらい」と思ったこと第1位
いよいよ栄えある1位です。20代の頭の頃に付き合っていた男性は、少し頭のネジが外れている人でした。そのぶっ飛んだ感じが刺激的で、面白く思えて付き合っていたのですが、その恋人との間に起きた出来事です。
その当時、わたしはしばしば、クラブやバーなどのSMショーのモデルとして出演していたこともあって、フェティッシュバーと呼ばれる場所によく出入りをしていました。その晩も渋谷にあった某フェティッシュバーで、恋人と飲んでいたところ、隣にいわゆる「ご主人様とそのM女」という組み合わせのカップルと居合わせたのです。なんとなく一緒に飲む形になったのですが、そのカップルがとうとうとSMについて語り始めたのをつまらなく思ったらしい恋人が突然「なにがSMだ!」とわたしの顔に拳をくらわせたのです。
突然のことにあっけにとられて、同席していたカップルが黙り込んだので、「つまらない話を強制終了した」という意味では、恋人の行動は効果があったのかもしれません。が、殴られたわたしはたまったものじゃない。
案の定、翌日にはバッチリと左目を囲む形で、まるで漫画のような青タン出現。誰がどこから見ても<DVを受けた女>。「ああ、そんなところに青タンって、誰かに殴られたのね。きっと男よね」と周囲から気の毒な目だったり、「殴る男と付き合うような、ちょっとヤバい女」という目で見られる日々。ただ突然、降ってきた拳に当たってしまっただけで、わたしの中身は、これまでとなにも変わっていないというのに……。
こうして振り返ると、自身の男性を見る目のなさに慄きますが、けれども、これをなんとか乗り越え、平和に戻った世界でまた、ヤバめな案件に遭遇し「つらいけど、新型コロナの脅威に怯えていた頃に比べたらマシ~!」なんて思いたいものです。蛇足として、ひとつ付け加えますと、青タンを作った恋人のチンコは、勃起しても親指サイズでした。お粗末さま!
Text/大泉りか
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