「子どもを産んだら俺は不要?」夫が急に危機感を覚えたワケ

大泉りかコラム

夫の寂しげな発言に驚き

つい先日のこと、飼い犬の散歩中に、突如、夫がこんなことを言い出したのです。「そういえば、女の人って子どもを産むと、生物学的に夫が必要じゃなくなるらしいよ。ヤダなー、俺ももう、必要ないのかな……」

え、夫よ。いったいいつ、どこでそんな知識を身に着けたのか。確かに自宅のわたしの本棚には、家族や男女の関係について、科学的なアプローチで解き明かすことを試みた書籍が何冊かは並んでいます――例えば、『ママたちが非常事態!?: 最新科学で読み解くニッポンの子育て』(著:NHKスペシャル取材班、NHK出版)や、『子どもが生まれても夫を憎まずにすむ方法』(著:ジャンシー・ダン、翻訳:村井 理子、太田出版)など――なので、その中の一冊を手に取ったのかもしれません。
けれど、これらの本を読んだのだとすれば、そこには前向きな対処法が示唆されているはずなので「俺はもう、必要ないのかな……」なんていう言葉が出てくるはずはないのです。

疑問に思って「いったいどこでそんな知識を仕入れたのさ」と尋ねてみたところ、返ってきたのは「関根勤が言ってた」という言葉でした。

せ、関根勤!?

いったいどうして関根勤なのか、よく理解できずにさらに問うたところ、どうやら暇つぶしに買った某週刊誌に関根勤のインタビューが掲載されていて、その中で、関根勤が妻に言及した発言を読んで、危機感を覚えたというのです。

「必要じゃなくなる!」と嘆く前に

確かに産後、女性の脳に変化が起きるという研究結果はあるようですが、だからって「夫が必要じゃなくなる」というのは少し飛躍しているように思えます。カマキリじゃないんだから……。

もっとも、家のことに非協力だったり、足手まといになる夫への苛立ちが極まったあげく、「夫が必要じゃなくなる」という境地に辿り着くのは珍しい話ではない。これまで、少なくない数の既婚女性たちに、家庭の有様についてヒアリングしてきて、多く耳にした不満が「家族なのに、夫は家庭のことに無関心すぎる」「夫なのに、まるで長男のよう」だったのは事実なのです。

ゆえに必要とされたいのならば、「生物学的に必要じゃなくなってしまうなんて!」と嘆いてないで、黙って食器を洗うとか、洗濯機を回して干すとかすれば、すぐに「必要な人」になる、極々シンプルな問題だと思うんですけど、いかがでしょうか。

Text/大泉りか