思いもよらぬオジサンの行動
ところが、機内食が食べ終えて一段落ついたくらいの頃でした。隣の席のオジサンは、ガサゴソと鞄の中を探ると、「これ、どうぞ」と、親指サイズのパンダの折り紙を、差し出してきたのです。
突然のメルヘンな贈り物に驚きつつも、「どうもありがとうございます」とお礼を言って受け取って、息子に手渡すと「こっちもどうぞ」と今度は小指サイズの折り紙パンダ。ものすごく器用に作られた2匹のパンダの折り紙。残念ながら、息子はさして興味を惹かれないようでしたが、なんかこういうのって心温まる感じで、嬉しい……。
前回のアカエイのお裾分けの件しかり、なんだか今回の韓国旅行は、オジサンの温かみに触れた旅だったのですが、これから先、ウザいオジサンに遭遇したときは、今回のオジサンたちのことを思い出し、「彼がウザいのはオジサンだからではなく、彼がそういう人間なのだ」ということを忘れないようにしたいと思います。
そういえば、今回宿を取った鍾路3街駅近くの益善洞あたりは、以前は古い韓屋と呼ばれる平屋の古い民家が立ち並んでいたらしいのですが、今はそのほとんどがリノベしてカフェやレストラン、ハンドメイドの雑貨の店などになっており、まるで代官山のような佇まいでした。
古くても新しい価値観を受け入れつづければ、より味のある存在としてリボーンできるということを忘れずに、我もまた、年を経ていきたいものです。
Text/大泉りか
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