「女同士の旅行」と「不倫」が同格?
「よし、とりあえずググろう」と『コルク 固い 抜き方』で検索し、「しばらく横に寝かせて置くと、コルクが湿って開けやすくなる」という情報をゲット。グーグルを信じてしばし待つことにし、気分を切り替えて、チキンに手を伸ばしたところ、K氏が、再び話しかけてきました。
「旦那さんは、いま何してますか?」
「えー、夫は日本にいるのでわからないです」
「えっ、旦那さんは日本に?」
「そう。今回は女だけで来たので」
「旦那さんは(女だけで旅行にいって)、怒りませんか?」
「怒りませんよ」
「そうですか、すごいですね……! 韓国はそういうのは、なかなか無理です。じゃあ、旦那さんは、あなたが外に恋人を作っても怒りませんか?」
「さぁ? それは怒るんじゃないですかね」
「やっぱりそれはダメですか!」
ちょっと待って。なぜ女同士で旅行に行くことと、不倫をすることが、「夫を怒らせること」として等しいの?
オジサンとアラサー男性、本当に女性を尊重しているのは…
そもそも文化の違いと言われればそれまでだけど、どちらかといえば、文化の差よりも、世代の差のほうが大きいように思えます。
というのも、窓際のテーブルに座っているオジサンたちは、女三人がワインを開けられないで困っているのを手伝ってくれたけども、これって、「弱い女性は助けなくてはならない」という、ある意味で女性を男性と同等として見ていないからこそのケアでもある。
一方で、壁際のテーブルに座るアラサー男性たちは、「この店でワインが飲みたいのは、彼女らの問題」として、関わってこようとしない。
一見、優しくてレディーファーストなのはオジサンたちで、アラサーの男性たちは冷たく思えるけれど、実際にはオジサンの発言はウザく、放っておいてくれるアラサーの男性たちのほうが、女子会をしているわたしたちを尊重してくれているともいえる。
その間に挟まれた、ちょうど真ん中の世代のわたしたちは、どちらの男性の態度をよしとすべしか……。その答えはすぐに出ました。
いい加減、K氏と話すのが面倒になり、「そろそろ、もう一度挑戦してみるわ」と、ワインを拾い上げ、再び挑んだところ、なんと、なんと、なんと、抜けたのです!
やったー! 友人たちの歓声と称賛を浴びながら、胸の中に、なみなみとした達成感が満ちるのを感じました。自分たちで方法を探り、困難を乗り越えたときのこの快感。
困難を男性の力を借りることなく乗り越えることが、こんなに気持ちがいいとは。もしかしてわたしたちは、弱き者として、求めずとも助けを差し伸べられることにスポイルされて、自尊心を得る機会を失っていたのかもしれない。
自分たちだけの力で、男性たちもできなかった、ワインの栓を抜くことに成功した。誇れることがひとつ増えた釜山の夜、白ワインの味は、格別に美味しく思えました。
Text/大泉りか
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