「自分のしたいこと」と「恋人の気持ち」
けれども、ちょっと悩ましい思いもありました。わたしには同棲している男性がいるのです。恋人を差し置いて、よその女性に、キスくらいはともかくとして、手マンやらクンニやらとしたりされたりしていいものか。
もしもこれがこっそりと誰にもバレないというのならそれほど躊躇もしませんが、なんせ誌面で堂々と公開されてしまう。恋人は、わたしに貞淑を求めるタイプではないけれど、それでも、同棲している彼女がレズナンキャノンボールに出るってどうなの?と。
そう。わたしはこれまでずっと、「自分のしたいこと」と「恋人の気持ち」のどちらを優先させるかを、ずっと悩み闘ってきました。たぶんそれは自分のしていることを、誰もが快く受け入れられるわけではないと自覚していたから。ようは自分で自分を差別していたのです。
いまのわたしは、「わたしがどこで何をしようが、誰かに許可を取る必要はまったくない」と考えています。けれどもたとえば、うちの実家では、母親はどこに行くあれをするというのをいちいち父親にお伺いを立てていた。これまで付き合ってきた恋人たちも、わたしが言うほどのことじゃないと思ってした行動を後で知って「なんで黙ってそういうことをするの?」と不満を伝えてきた。だから、恋愛や結婚においては、パートナーに事前に自分の行動を伝えるのが常識だと、当時は考えていたのです。
後から知られて喧嘩になるのは真っ平。とはいっても、パートナーであっても他人に行動を制限されることは、もううんざりでした。そう考えると、わたしが取るべき選択肢はひとつ。「あなたが何を言おうと、わたしのしたいことは遂行する」という意思を表明し、やめてくれと泣かれようが喚かれようが、曲げずに突き通すしかない。もしも、わたしの意思を尊重してくれないのならば、その人と付き合い続ける意味はない……というわけで、わたしは恋人に「レズナンキャノンボールに参戦すること」を告げ、そして、そのルールについて伝えたのでした。