彼を許してしまった理由
彼を許していた理由のひとつは、彼の仕事が激務だったこと。朝の6時に家を出て、帰ってくるのは夜の22時すぎの彼が、帰宅後に出来ることといえば、ご飯を食べてお風呂に入って寝るだけ。それが月から金、隔週で土曜日まで続くのです。
一方でわたしは、それなりの量の仕事をこなしていたといえども、自宅作業がメインで、時間の余裕が違います。だから「せっかくの休みくらいは好きなことをしたい。休みの日までやることを決められたら、いつ休んだらいいんだ」という彼の意見にも一理あると考えてしまった。
ふたつめには、彼がそもそも「結婚式はしなくていいよね」と言っていたこと。にもかかわらず、うちの父親の意向で式をすることになった経緯がある以上、面倒をかけるのも申し訳ないとも思ったのです。
とはいえ「結婚式と披露パーティーをする」という決断を下したのは、結局わたしたちふたりなのだから、わたしはなんの負い目を感じる必要もなかったはずです。それなのに、「やりたくないことに付き合ってもらって申し訳ない」という思考回路に陥っていたのでした。
はっきりいって、そのすべての行動が間違っていた……ということを、現在の夫との子を出産し終えた今になって思います。
というのも、いったん育児の話になりますが、パートナーが激務である育児中の女性の多くは、「せっかくの休みくらいは好きなことをしたい」の言葉にほだされたり、仕方ないと諦めたりして、休みなしで育児をしている。その結果、育児鬱のようになったり、夫への愛情がすっかり醒めてしまったりしているケースがザクザクと見つかります。
結婚準備も同じです。配偶者がふたりのことに協力的ではないせいで、絶望感と苛立ちが確実に積み上がっていく。それなのに、わたしは「疲れていて時間の余裕のない彼に、これ以上を負担を負わせたくない。代わりに自分ががんばればいい」と考えてしまったのでした。