「子供だけ産ませてくれ」はアリか?
話は変わりますが、以前、うちの夫に「あなたの子供だけ産ませてほしい。そうしてくれれば、あなたのことは諦めるから」と詰め寄った女性がいたそうです。友人からのまた聞きなので詳細はわからないのですが、ひゅー! モテやがるな(怒)。そして、そんなことを知っていたせいで、妊娠中に役所で「(お腹の子の)お父さんのお名前は?」と尋ねられたり、息子のおむつを替えている夫の姿を見たりと「男親」の存在を意識させられるたびに、どうしてもそのことが頭の中にぐるぐると浮かんできました。
「子供だけでもいいから、欲しい」と口で言うのは簡単です。けれど、産前産後の嵐のような日々に面した時に「やはり男親が必要だ」と考え直すことなく、ひとりで耐え抜くことって出来るのだろうか。「やっぱり考えが変わった。父親として少しくらいは心を寄せてほしい」と前言を翻すことになるのでは、なかろうか。不安、孤独、寂しさ、嫉妬etc…それに耐え抜き、自分の言葉に責任を持ってひとりで育てるなんて、「いやー、正直、無理だよね」と考えていました。ついふた月ほど前までは。
考えが少し変わったのは、仕事に本格的に復帰してからです。保育園に入れたり区がシッターを派遣してくれるファミリーサポートの手を借りたりして、公のバックアップの利用を始めたことで、想像していたよりもずっと手厚い体勢が整っていることに気が付きました。また、息子自身も少し成長して、車や電車での移動がしやすくなったことで、義実家や実家に行く機会も増え、(義or実)親に息子の面倒を見て貰ったりしているうちに、「何が何でも夫婦でやり遂げようと思っていたけれど、こうやって回りの人の手を借りることも出来るんだ」とわかったのです。もちろん保護者は私と夫だけれども、助けてくれる手は、身内にも公共にもある。
そして、どんどんと表情豊かになっていく息子は、どんな大変な思いをしてもいいと思うほどに可愛い。だから今では思います。「子供だけ産ませてくれ」という選択肢は十分にありです。結婚はさておいても、もしも自分が「子供を産み育てる人生」を望むのならば、産んだほうがいい。子育てはなんとかなる。
もちろん、ひとりで育てると決意をした場合、夫婦で育てるのならば経験せずに済むつらい目にあったり、悲しい思いをすることもあるかもしれません。けれども、それを跳ねのけられるくらいの歓びが育児にはあります……なんてことを書きつつも、夫が外に子供を作ったら、もちろん困るんですが(笑)、けれども産みたいのならば、例え相手との結婚が望めなくても、もしくはそもそも結婚をする気がなくても、産んだほうがいいと思うのです。
Text/大泉りか
次回は<ママは飲みに行く。夫にも不倫にも「ずるい」と思わなくて済むように>です。
夫に子どもを預けていられない大泉りかさんが、区のファミリーサポートにお願いして月に1度飲みに行くのは、やっかむ気持ちを収めるため。それでも大変だから、ランチの時間にお酒を飲む「ママ会」も。そこで盛り上がる話題は『昼顔』『あなたのことはそれほど』のような不倫トーク!2つのテーマに共通する感情とは?
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