嘘をつく男の理論

 しかし、彼女の主張は違います。年齢や職業を偽ってまでも「わたしと付き合いたい」と願ってくれただなんて、女冥利につきる。年齢や職業が違ったからって、彼を好きだった気持ちが変わるのはむしろ不純である、というのです。「彼だって、悪気があって嘘をついたわけじゃない。わたしのことがホンキで好きだっていうし」と。こうなると話せば話すだけ、お互い気分が悪くなるだけ。さっさと話を切り上げて話題を変えたものの、気まずい雰囲気が漂ったまま、その日は終わったのでした。

「自分を偽る男」に遭遇したのは、その時が初めてでしたが、しかし、実はそういう、「嘘をつく男」って珍しくありません。
年齢、職種、彼女の有無、そして既婚者であることを隠したり、嘘をつく男の多さたるや! そう、ゲス不倫で世間を騒がせたベッキーや、今回の出家騒動で芋づる式に発覚した清水富美加の件のように、既婚者であることを隠して恋愛しようとする男は、特に多い。
恐ろしいことに「僕と付き合ってくれないか」と口説いてくるのは、独身男性だけではないのです。しかも本人は「欲しいものを手に入れるためには仕方がなかった」という理論をかざして、悪気はなかったと思っているのが手に負えない。中には「結婚している」とあえて言わないことで、嘘をつかずに独身であると勘違いさせるやり方をとってくる男性もいます。

 彼女に、ひとつだけ救いがあるとすれば、彼の「独身」という申告が嘘ではなかったことでした。年齢や職種を偽られていても、ものすごく困ることはありません。しかし、知らないうちに自分が不倫をさせられていたというのは、ちょっと困ったことになる。相手方の配偶者に知られて怒りの矛先向けられたら、たまったものじゃないですよね。

 だからこそ、口説いてくる男性には、恋が始まる前に必ず、LINEなどの証拠が残る形で確認をしたほうがいいと思います。「結婚とか、してないよね」と。もしもそこで既婚者だと解ればすぐに撤退できるし、しているくせに「独身だよ」と騙された場合は、最悪、妻から裁判に持ち込まれた場合の強力な証拠になります。安全走行しているつもりだったのに当たり屋がぶつかってくるだなんて、まったく嫌な世の中ですが、あなたの身を守れるのは、あなただけ。

Text/大泉りか

次回は<こだわりが消えていく出産後…それでも手放せないのが「セックス」だった>です。
「こだわりを持つ」ということは、クセが強いと思われがち。しかし、何もこだわりがない人になってしまうと、それもそれで人生の楽しみが薄れてしまったり…そこで、今回は出産を通して「自分のこだわり」を再認識した、子育て2ヶ月目の大泉さんの体験からのお話です。