鉄則:「付け入る隙を与えるな!」
そんな日々をくりかえす中で、ある時、向こうが激情に駆られて「出ていけ!」といったのを良いことに、実家に戻ったわたしのところには、それからも毎日のように「話がしたい」「話を聞いてくれ」「お前には話をする義務がある」と電話が掛かってきました。
最初は付き合っていたものの、次第にうんざりして出なくなると、今度はメールが届くようになりました。
けれども、それにも反応しないでいたところ、半年ほど経って、わたしの両親宛に「(一緒に住んでいた)家を出てくので」と連絡があり、ようやく別れることが出来たのでした。
残された荷物を片付けるために、一緒に住んでいた家を戻ると、壁に凹みや血のようなものの飛沫がありました。棚の穴にも、その時に気が付いて、新しい恋人と暮らす部屋に運んだ時に、その穴を隠せるような向きで設置した記憶もうっすらとあります。今回、穴を目にするまでは、すっかりと忘れていたことでしたが。
感情のコントロールが出来ない元恋人との別れからわたしが学んだことは、「話を聞いても仕方がない」ということでした。可哀想、申し訳ない、自分にも悪いところがあるという罪悪感に苛まれたりもするけれども、そんなことを思えば自分自身が相手に付け込む隙を与える――隙なんていうと、非道な言いぐさです。けれど、相手の希望をきっぱり毅然とした態度で絶つことこそが、互いのため。未来へ進むためには必要なことだと思うのです。
Text/大泉りか
初出:2016.12.31
次回は<女友達との予定があるのに恋人がインフルエンザになったら(前編)>です。
季節柄「インフルエンザ」には要注意しなければならなくなってきましたが、みなさんはパートナーが風邪などの病気になってしまった時は先約を優先しますか?それとも、看病をしに相方の居る場所へと向かいますか?今回は、そんなパートナーとの関係性についての話の前編です。