「オジサン」や「パパ」と女子高生の平和なネットワーク
セックスを許す代わりに、お金をくれる中年男性のことを、我々は蔑む気持ちを込めて「オジサン」、もしくは、一応定期収入をもたらしてくれるありがたいお方ということで、「パパ」と呼んでいました。
そんな都合のいい「オジサン」や「パパ」たちを、互いに斡旋し合い、シェアするのが友情のひとつの形でもありました。
「オジサン」「パパ」側にしても、いろんな女子高生をつまみ食い出来る上に、“紹介”ならば美人局を心配したり、シャワー浴びている間に財布の持ち逃げされるような目に会わないで済むために、都合がよかったと思います。
だから、中には「いいコがいたら紹介してくれない?紹介してくれたら、紹介料払うから」とまで頼んでくる人もいました。
そうして、ウリをしている女子高生のうち、何割かは女衒の役割を兼任する者が現れ始めます。
むしろ自らはウリをしないけれども、ウリができる知り合いを斡旋はするという、売春の元締めめいた女までもが存在していました。
女子高生が、自分を買春した男に、友人の女子高生を斡旋して金を貰う。
「あのコだったら、まぁ、オジサンも気に入るかな」と値踏みしたり、反対にオジサンに「援助交際は初めてのコだから、5万円あげて、あたしには紹介料3万円ね」と価格交渉をしたり、友人の“女としての価値”を中年の男の視線で測り、そして値段をつける。
なんとおぞましい話でしょう。
しかし、一方で、わたしたちは自由でした。
友人の紹介であっても気が乗らなければ「やめとくー!」の一言で断ることができ、お金がなければ「誰かいい人いないかなー」と紹介を頼む。
友人に紹介料が入ることは、搾取ではなく借りを与えることで、「これ、買っちゃった。ありがとね!」とわかりやすく感謝される。
デートクラブの受付に支払われる入店料はどこに行くのか、誰の儲けになるのか、さっぱりわからなかったけど、紹介料ならば友達に確実に入るのです。
売春と斡旋の是非はさておき、当時、そういうネットワークが存在した。
そしてそのネットワークは、わたしたち――売る女と、斡旋する女と、女を買いたいオジサンの間――で平和に機能していたことは、事実のひとつです。
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…次回は《震える子猫ではなくハイエナ?中年男性と女子高生のアンビバレンツな関係》をお届けします。
Text/大泉りか
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