他人のぬくもりを感じたクリスマスの朝
我が家の寝室は和室で、夫と犬と共に、布団を敷いて寝ているのですが、この時期は夫と、犬の奪い合いになります。
というのも、夏は涼を取るために畳の上で寝そべっている犬が、寒くなってくると布団の中に潜り込んくるのです。
それが、ぬくくてふわふわでたまらない。
隣で寝ている夫と、どのあたりに犬が位置を落ち着けるのか牽制しあうのが、この時期の常です。
犬は大概の場合、どちらかの足元にポジションを取ることが多いのですが、幸運にも自分の足元に来てくれた場合は、足先をその身体にピトッと当てます。
犬が夫の身体を挟んで向こう側にいる場合は、仕方がないので、夫の足先に自分の足先を当てます。
そのどちらの場合でも、身体の向きは布団の外側向き。
後ろから相手を抱きかかえるスプーンと呼ばれる体勢は、されるのはいいのですが、する方だと寂しいし、旦那がこっちを向いて寝ている場合は、顔と顔との距離が近すぎて落ち着かない。
なので、わたしはいつも外側を向いて寝る癖がついています。
さて、大昔……本当に大昔、今から二十年以上も昔のことです。
クリスマスイブに開かれた飲み会に参加したことがありました。
仲のいい遊び友達同士20人ほどの飲み会で、わたしはそこで知り合った男のコと、その夜ホテルに行き、朝まで過ごすことになりました。
その頃、わたしはもう処女ではありませんでしたが、基本的に外泊は禁じられていました。
なので、ラブホテルに泊まったのはその日が初めてだったと思います。
最も、ラブホテルに足を踏み入れること自体は、物珍しくもなんともなかったので、いつも通りに時間を過ごし、そしていざ寝ようとした時に、いつもと違う新鮮な体験をしたのです。
それは何か、というと、抱きつかれて眠ることです。
その男性は後ろからわたしを抱えたまま、眠りにつきました。
そして、わたしは背中に他人の温もりを感じながら、クリスマスの朝を迎えたのでした。
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