「映画」と「愛」と「恋」のベストスタンダードの大切さ

 映画がスタンダードに魅力的なこと、そしてシンデレラに宿る不思議な魅力について述べて参りました。

「映画」も「愛」も「恋」も、たくさん経験をすると、さらに上を求めるようになってしまいます。良し悪しは別として、常に上を目指すのではなく、時としてスタンダードな魅力を求めることもとても大切だと、実写版『シンデレラ』は気付かせてくれます。

 ケネス・ブラナー監督は「誰もが知ってる物語だからどう変えるかではなく、どう見せるかにこだわった」と言います。「映画」も「愛」も「恋」も、この視野ってとても大切ですね。

  映画に見慣れて頭でっかちになると、スタンダードを楽しめなくなったり、より刺激的なものを求めてしまいがちです。愛や恋や性的な経験を積んでいくのと同じように。

 それは「より上へ」という高みを目指すポジティブな見解であると同時に、本当に大切なものを見逃してしまう仇ともなってしまいます。

 今目の前にある、語り継がれてきた物語。その物語を今この現代に実写で蘇らせ、見せることに力を注ぎ、ベストスタンダードの大切さを私たちに提示してくれる作品となった実写版『シンデレラ』。本作から、情報過多の時代を生きる私たちは何かを学び、活かすことができるのではないでしょうか。

 その「何か」は人それぞれです。みなさんがそれを探してみてください。その答えが見つからなくても、この物語はきっとみなさんの心を浄化してくれます。それくらい素晴らしい映画です。

4月25日(土)全国公開

監督:ケネス・ブラナー
キャスト:リリー・ジェームズ、ケイト・ブランシェット、リチャード・マッデン、ステラン・スカルスガルド、ソフィー・マクシェラ、ホリデイ・グレインジャー、デレク・ジャコビ、ヘレナ・ボナム=カーター
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
原題:CINDERELLA/2015年/アメリカ映画/105分
URL:映画『シンデレラ』公式サイト

Text/柳下修平