後輩とセックスしてしまいました

豆腐屋ななさん(佐賀県)
エピソード:
 同じ部署の何人かで飲みに行った帰り、後輩の一人とセックスしてしまいました。
 毎日顔を合わせるし、後輩には遠距離とはいえ彼女がいたので油断しており、流されるままに……。
 しかも、関係は一回だけでは終わらず、依存心が強い私はどんどんハマってしまい、気づいたら好きになってしまっていました。
 そんなある日、彼が別の部署の、私が嫌いな女の子と連絡を取っているのが発覚。
 私だけじゃないのはわかっていたけど、よりによって何であの子と……!
 いろんなものが爆発しそうになっていたら、今度はまた別の女の子と遊んでいたことも発覚。
 口にする言葉が何も見つかりませんでした。
 今でも関係は続いていますが、彼女でもないのでいろいろな感情を押し殺したまま、ただただ毎日悶々としています。

あの子とかあの子とあの子とあの子とか 私は一体何番目なの(豆腐屋なな)

「好きな男には、せめて、自分でも好きだと思える子と浮気してほしい」という思い、なんとなくわかるけれど、たいへん濃厚な怨霊に包まれた恋心ですね。苦しみ、お察しします。

 でも、後輩くんとの関係が万が一ラッキーに転がって彼氏彼女の関係になっても、いま「好き」と思い込んでる気持ちが霧消して憎々しさだけ残りそう……そんな気がするのはなぜだろう。

 文面から「自分のことを好きにならなくてもいいけど、自分の価値観には従っていてほしい」という欲望を感じるからかな。

 この感情はわりと曲者。

 たとえば、ツイッターで大好きな芸能人をフォローしてたとします。その人があるとき「この小説おもしろかった!」とあなたの大嫌いな作家の小説を絶賛するつぶやきをしたら、自分にどう折り合いをつけますか。

「大好きだったのに、あんな作家のことを好きなんて失望した。ちょっと好き度が下がったわ……」

と思う人も

「あの人が言うなら、嫌いな作家だったけど、考えを変えて読んでみようかな……」

と考える人もいると思いますが、どちらにしても、

「自分が好きな物を好きでいてほしいし、自分が嫌いな物を嫌いでいてほしい」

という「自分と同じ意見でいてほしい欲」が働いているという意味では同じです。

 この欲は性欲みたいなもので、たまると無性に誰かに処理してほしくなってしまうもの。

 ストレスがたまってるときに「意見は求めてないから私の言うことにうなずいてろ!」としゃべり続けたくなる感情と、ストレスをためた男性が風俗に行って「いいから抜いてくれ!」となる感情とは、だいたい同じなんじゃないかと思っています。

 恋愛と重なる部分はあるけど、あくまで「やってくれるんなら相手は誰でもいい」欲望処理。

 ななさんの恋愛はなんかそんな「さみしさから来る欲望を処理しようとしている」気持ちと「人を好きになる」気持ちとがごっちゃになってご自身でも判別できてないような気がします。

 憶測が過ぎました。歌人の僕にできることは短歌をつくることでした。憶測をささやかな短歌にして、ななさんの幸せへの祈りに代えたいと思います。

「さみしい」と「すきだ」をいつも間違える ごめん昨夜は間違いのほう

本日はここまで

 投稿、たくさんいただいております。全部ものすごくハラハラしながら読んでいます。ありがとうございます。

 引き続き「オフィスラブ」「職場恋愛」をテーマに、怨霊エピソード&短歌を募集しております。黒ければ黒いほど僕の好物です。

 こちらのフォームからご投稿ください。ぜひに。

Text/佐々木あらら