嘘つきにベランダから追い出されました
やすこさん(東京都)
エピソード:
お酒の席で出会った男の子に誘われ、酔った勢いで家までついていきました。
元彼と別れたばかりでやけくそだったのと、その男の子が「彼女いないから大丈夫」としきりに言うので泊まってしまいました。
翌朝。のんびり寝ているとチャイムの音が。玄関に行った彼が顔面蒼白で戻ってきて、
「ヤバい、彼女が来た」
え、いないんじゃなかったのかよ!……と思う間もなく、
「ごめん、とりあえず頑張って帰って!」
と、ベランダから追い出されました。
とはいえ、周りは建物で囲まれていて外に出られる道はありません。
やむをえずゴミ捨て場の塀を泥棒のようによじ登り、なんとかマンションの外へ。スカートはボロボロになり、みじめな気持ちで帰宅しました。
その男の家が1階で良かったです。
飲み会の「彼女いない」が嘘ならばベッドの中の「好きだ」も嘘だ(やすこ)
常連のやすこさん。いつもありがとうございます。たくさんの引き出しをお持ちで。
僕も「間男」みたいなことをやってしまったときに、人の家の風呂場に1時間以上隠れてたことがあります。いまやすこさんの話を聞いてわかったけど、マンションの3階だったからだな。
「彼女がいない」という嘘は、嘘の中でももっとも下手な部類に入ります。ちょっとした詮索で簡単にバレるからです。「宿題やった?」に「やった」と答える子どもに匹敵する、思慮の浅さ。
正しい嘘つきは、口説いている相手に「彼女いるでしょ?」と聞かれたら「いっぱいいるよ」と答えるらしいですよ。こう答えると、あとから彼女の存在がバレても気にする必要はないし、女の子のほうもなぜか参入の余地があるように錯覚するから、だそうです。ほんとかな?
そんなことより彼のすごいところは「とりあえず頑張って帰って!」と勢いで追い出すことに成功してしまったところ。
冷静に考えてみれば、彼のためにバレないように努力する義理なんてひとつもないんですから、堂々と玄関から出て行ったっていいわけですからね。あとは残された二人が勝手に修羅場になればよろしい。それを押し切ってしまう身勝手なパニクりかたは、怒りと呆れを通り越して、愛嬌さえあるように見えてきてしまいました。
まあ、こういう一夜限りの恋をするときは「遊ばれた」と思うととても悲しい気持ちになるので、お酒の力を借りてでも「遊んでやるぜ」くらいの気持ちになってから立ち向かうのが、幸せになるコツだと思いますよ。
そういう気持ちになるのが苦手な人は、こんな恋をしちゃいけません。
「世界一好きなお前に嘘なんてつけない」特に前半が嘘(佐々木あらら)
ちょうどやすこさんの短歌とペアになっているような昔の短歌があったので、載せておきます。