相手を変えようとするのは等しく暴力
そしてわたしが最も恐れる王子様は、映画オタクのバーテンダー「奥田」です。倫子とTSUTAYAで偶然出会ったこの男、明るく快活で、これ以上ないほどイイ男……かと思いきや、映画が好き過ぎて、倫子に「あの女優さんと同じ髪型にしてよ」と言ってしまいます。無邪気に倫子の個性を無視するようなことを平気で言っているわけですが、映画が好きで言ってるだけなので、悪気がない(悪気がないのが一番悪い)。
愛があろうがなんだろうが、相手を変えようとするのは等しく暴力だと思ってしまうわたしにとっては、奥田が一番恐ろしい! でも、その恐ろしさがリアルだから、読むのを止められない! 触ると火傷するとわかっていても、つい触りたくなる。そんな難アリ王子を作中にじゃんじゃん召喚しまくってるんだから、ヒリヒリするのは、“仕様”だな…そんな気持ちで読むのが『東京タラレバ娘』という作品なのではないでしょうか。
Text/トミヤマユキコ
次回は <好きなオカズしか入ってない漫画『金の国 水の国』の乗っかり上手な王子様>です。
口コミの「量」よりも「圧」がすごいというのは、その作品が語りたくなるものだということ。そんな漫画が「このマンガがすごい!2017(オンナ編)」の第1位に輝いた『金の国 水の国』。賢いのにヤンチャやれる最高な王子様が登場するこの漫画の魅力を、トミヤマユキコさんが「圧」をもってお伝えします。
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