
離婚しておおよそ一年になります。シングルマザー生活にも慣れて……といいたいところですが、まったく慣れない。というか慣れたと思った途端、息子(8歳)が新たな進化を遂げることの繰り返しで、まったく追いつけない。先日は、マヨネーズを作ってみたいというリクエストに応えて一緒に作ることにしたのですが、泡だて器でいくらかき混ぜてもなかなか乳化せず、ついに面倒になり、ハンドミキサーを取り出したところ「電マかよ!」と突っ込まれて目が点になった。どこで仕入れたその知識。もちろんのこと、我が家にも電マはあるのですが、この調子だと健康器具としてではない使い道を知っていそうな雰囲気なので、絶対に見つかるわけにはいかないと、隠し場所をクロゼットの中のさらに奥深い場所に変更いたしました。
「シンママ」と「電マ」ってなんだかものさびしい字の並びですが、そんなことないんですよ! オナニーばっかりしているというわけでもない。ということで今回のテーマはジャジャーン! シンママの恋人問題です。子どもに恋人の存在を知らせるか否か。さらにいうと会わせるか会わせないか。
シンママに恋人ができたら
わたしの場合は会わせないし、そもそも知らせないという選択肢を取りました。その理由は、恋人との間にできるだけ生活感を挟み込みたくないからです。母親をしている所帯じみた姿を見せたくない。そんな、あくまでもわたし側の都合なのですが、息子にとってもそっちのほうが良いのではないかなとも思う。なぜならば、別れた夫と息子はものすごく仲良しで、口には出さないものの、その大好きなパパとわたしが離婚したことには心を痛めている様子もうかがえる。
わりと早熟なタイプなので、薄々「ママは色気づいている」くらいのことは勘づいていると思うのですが、「ママには彼氏がいてね……」と話して理解してもらうという負担をわざわざかけることもないし、そもそも、恋人なんていつまで一緒にいるかわからない存在の相手なわけで、万が一にも懐いたりしたら、いざお別れが訪れた時に可哀想だし、息子を巻き込んで疑似家族ごっこをする趣味もない……とかつらつらと書いていたところで、なんか違うなぁと。
息子に会わせたくない、その本当の理由
確かにわたし自身の主義主張としてはどれも間違ってはないんだけどなんか違う。何かを誤魔化している。もっと根本的に、会わせたくないし存在も知らせたくないという何かがある。それはいったいなにか。と考えたら答えに辿り着きました。
セックスをしている相手だから、会わせたくないのです。あれだこれだと言い訳はあるけれど、セックスをしている相手と我が子と会わせることが、恥ずかしいし気まずい。ある意味で、電マを所持していることをバラしたくないというのと同じこと……って恋人を電マと並列に扱うとは、なんてひどい結論なんだ。
Text/大泉りか