コンビニバイト中に人妻と不倫。性体験を聞いたら彼が少し気になる存在に

酒場などで居合わせた人に「エロ系のモノカキなんです」というと、「じゃあ俺の体験聞かせてあげるよ!」と、親切にもマッチングアプリだとか旅先だとかでのアヴァンチュール体験や、不倫相手やかつての恋人との最高セックスを語りだしてくれることが少なくありません。こちらにネタを与えてくれようというその気持ちはありがたいのだけど、残念ながらさして面白くないことが多いし、そもそも、初対面の人の生々しいエロ話を聞かされるのは、迷惑とまではいわないけれど、微妙。
そんなこというなら、テキトーに「市井の主婦でーす」とか「OLやってまーす!」とかの自己紹介で済ませておけよ、という話もありますが、そうするとずっと嘘をつき続けなくてはならなくて、それはそれでストレスだし、たまに「え? そんなことしてるんですか!」といった仰天エピソードが聞けることもあるので、やっぱりわたしは「エロ系のモノカキなんです」とアピールしていくほうをチョイスし続けているわけです。

コンビニバイト中に出会った人妻の話

あるときもそんなノリで、己の性体験を語りだしてくれた男性がいました。初対面ではなく何度かは会ったことのある人で、しかも下半身に関してだらしなくないというか、あまり女好きなタイプでもない印象がある。そんな彼が語るには、かつてコンビニでバイトをしていた頃、店を訪れた一家の人妻に、同伴している夫の目を盗んで連絡先を渡されたという。

連絡をしてみると、彼女は彼が勤務中のコンビニに、自宅を抜け出してちょくちょく訪れるようになり、話しているうちに読書の傾向が似ていることが判明し、本の貸し借りをする仲へと発展。ここまでなら胸キュンですが、もちろん男と女。あるときバックヤードでヤっちまって以来、ずぶずぶの関係に。コンビニや彼の一人暮らしのアパートで逢引きを続けていたものの、ある日、彼女の夫に不倫がバレてしまった。

「もう、会えない」というメールを最後に彼女からの連絡が途絶えた数日後、自宅のアパートにいたところ、外廊下からカツンカツンというヒールの足音が聞こえたという。「あ、彼女だ」と、思ったものの、気が付かないふりをしていると、やがて足音は去っていった。しばらくしてから外廊下に出てみると、ドアノブに紙袋が掛かっていて、彼が貸した本が掛かっていた……。

この話を聞いて、彼の印象が変わった

という話を聞いた途端、これまでただの知人だと思っていた彼が、わたしの中で、少し気になる存在へと昇格した。人妻と不倫セックスという情報が植え付けられて、「エロい!」と彼の男の部分を妙に意識するようになったのか、はたまた、「もしかして誘えばヤレるんじゃね?」というワンチャンの期待が生まれたのか……。もっとも彼はそのときすでに既婚者であったので、わたしが件の人妻のようにアクションを起こすことはなかったけれど、SNSで彼の投稿を見掛けるたび「コンビニのバックヤードでセックスをする男」とエロい気持ちになっております。

Text/大泉りか