気心が知れていない友達だって
大事にしたほうがいい
なにもね、大親友をたくさん作れと言ってるのではありません。
前々回の記事でもお話ししましたが、「なんでも言い合える関係こそが真の友情!」なんてのは己の怠惰性を孕んだ甘えた考えですし、双方がそう思える存在を築けたとしても稀有な事例です。
友達にも様々な種類があります。昔からの付き合いで気軽に連絡が取れ、定期的に会って遊ぶ存在。年に1~2回、共通の趣味である舞台を一緒に観に行く存在。定期的に連絡を取り合うわけではないけれど、数年に一度地元に帰ったときにごはんを食べに行く存在。SNSがきっかけで知り合って実際に会ったことはないけれど、ふとしたときに連絡を取る存在。プライベートの細かいことはほとんど知らないけれど、馴染みのバーで遭遇したら一緒に飲む存在。これらも友達のカテゴリに入れていいですし、人との関わりに含まれます。
最初に挙げた、昔からの付き合いで気軽に連絡が取れ、定期的に会える友達はとても貴重ですから、可能な限り大切にしたほうがいいのは言わずもがなです。性格を熟知していて気心も知れていれば、とても気楽ですしいい意味で気を遣わなくていい。きっと悩みを話せば熱心に聞いてくれ、自分のことを大事に思ってくれているからこそ、特に厳しいアドバイスもしてくれると思います。
ですが、そうではない友達が必ずしも劣る、価値がないというわけではなく、それはそれで大切にしたほうがいい、関わりを持つ努力をしたほうがいい存在なんです。
なぜなら、気心が知れていないからこそ別の視点から忌憚なき意見をくれる場合があるから。そういった存在と接しているうちに、新たな気づきを得られることもあるからなんです。
あなたのことを熟知していればしているほど、「一度決めたら頑固だしな~」とあえて何も言わなかったり、ほんとうにつらそうだからこそ本心を飲み込んで同調と共感に徹したりすることもあるでしょう。それもひとつに優しさで、ありがたいものではあるとは思います。
でも、そうではない人からの無責任な意見、たとえば「そんな男と一緒にいるだけ時間の無駄じゃん! さっさと離れなよ!」とか、「もうドンドン押したほうがいいと思う! やらない後悔よりやる後悔!」とか、「現時点で彼と一緒にいて楽しければそれでよくない? 未来のことなんて考えたって仕方がないじゃん」とか。あなたの真意など関係なしの好き勝手な意見って、時に耳が痛かったり、「そういうことを言ってほしいんじゃないんだよな……」と腹が立つこともありますが、「客観的に見ると自分ってこうなんだ」と現状を自覚できたり、「そういうのもアリなのか!」と新しい選択肢を発見できたり、「うるせぇ! なんもわかってないくせに!」とムキになることで思いがけず自分の本心に気づけたりするものなのです。
もちろん、それらのアドバイスを全て受け入れる必要はありませんし、嫌な気分になるような非常識な発言をされたら距離を取って無視をしていいのですが、視野が広がりますし、思考もぐるぐる動くはずです。一人で殻にこもっていては得られないことばかりということを、あなたに知ってほしいと思います。
楽しそうに過ごしている人を
見つめることから…
他にも、あなたが誰かに自分の現状を話せなかったとしても、楽しそうに過ごしている人の話を聞かせてもらったり、その様子を眺めたりすることも人との関わりとして大事なんです。
「どうしてこの人っていつも楽しそうなんだろう」と考えることは、自分の生活や考えを見つめ直す行為に繋がります。
たとえば、とても楽しそうなカップルや夫婦の様子を眺めているうちに「憧れるな~」という感情が生まれ、自分もそうなりたいと気力が湧いて環境を変えたくなるかもしれない。一人きりでバーで飲んでいるかっこいい女性の話を聞いたら「別に結婚に囚われなくてもいいのかもしれないな」と新しい可能性に気づいたり、逆に「憧れはするけれど、自分には向いてなさそうだからもう一回婚活を頑張ってみようかな」と前向きになれるかもしれない。そういった、何かしら気持ちの変化が訪れるはずです。そして、その思いがけない気づきから、よくない繋がりが立ち切れたり、新たに輪が広がったりなど、物理的な変化も秘めています。
誰かの生活を見聞きして、想像して、「自分もやってみようかな」「今のわたしのやり方ってあんまりよくないかも?」と、できる部分だけでも真似してみてもいいかもしれませんね。
彼との関係をどうするか、結婚にどう向かっていくかは、前回の相談でもお話ししましたが、結局はあなたが自分で気づいて、自分の意志で行動するしかないのです。先に挙げた人との関わりによって得られるものが、今の悩みを解決するための一端を担ってくれるのではないでしょうか。
もともと人と関わるのが苦手、という側面を持っているあなたが、いきなり「よし! 友達つくるぞ!」と様々なコミュニティに参加して自分からガンガン話しかけてみるのはハードルが高いと思います。
だからまずは、「何年か前までは結構遊んでたけれど、そういえば最近連絡取ってないな~」と旧友に連絡をしてみたり、何か習い事を始めてみたり、お気に入りのお店を見つけて通ってみることをおすすめします。
知らない人に話しかけるのが難しそうなら、それだけで十分です。
現在あなたはエネルギーの矛先が彼しかない状態ですから、抱えている感情はさておき時間や思考だけでも分散させたほうがいい。彼を基準にスケジュールを調整する、物事を考える状況に身を置いていては他に意識を向けられず、ハマってしまったドツボからより抜け出しにくくなります。
また、他者と関わりを結婚相談所やアプリに限定するのではなく、恋愛モードを一旦休憩して、関係性にこだわらず人と触れ合うこと、物理的に他者に介入されることが、今のしんどい状況から抜け出すために必要だと思います。