付き合うって一体何なんスか?「デートをする、記念日を祝う、料理を作る」が恋人なのか

私は今年で30歳になる身なのだけれど、未だに恋愛経験値がとても低い。
20代前半から半ばにかけては彼氏を作るため、結婚するためにとにかく必死だった。すぐ男の人を好きになってしまうし、追っかけすぎて嫌われてしまうし、ワンナイト過ごしただけで「どうして付き合ってくれないのか」とグダグダしたことを嘆いてしまっていたし、来る者拒まずスタイルで誰かと付き合ったら付き合ったで嫌な目に遭ってしまうし。経験人数が増えるばかりで、パートナーと信頼関係を深めるためのコミュニケーションなどほとんどしてこなかった。

それは多分、自分に彼氏にいる状態をただ求めていただけだし、なんだったらさっさと結婚して専業主婦で楽して暮らしたいなどといった薄っぺらく中身のないからっぽで自分勝手なことだけを考えていたからだ。
恋する自分に恋してた、って感じだろうか。いや違うな、恋愛という概念に幻想を抱いていただけと表現したほうが適切に感じる。
おそらくまだ、私は男の人を愛したことがないのだ。

カップルというのはなんたるものか?

最近気付いたことなのだけれど、どうも私は型にはめた考え方に固執しがちなところがある。
男には彼女がいるべきで、女には彼氏がいるべきで、それが社会的にも人間的にも当たり前のことだ。だって街を歩けばどこもかしこも男女、男女、男女のカップルばかりではないか。父と母だって男と女だ。

カップルというのはなんたるものか?
漫画を読むと、いつも一緒にいる。駅前で待ち合わせをして、どこかで一緒にご飯を食べたり、水族館や動物園にデートへ行ったり、映画館で一緒に映画を観たり、週末になればどちらかの家に行ってお泊りをする。家デートだったら女のほうが必ずご飯を作って男に食べさせる。
それから、付き合った日のことをカップルは必ず覚えている。だから毎月「記念日」とやらにお祝いをする。誕生日が来れば祝って誕生日プレゼントを渡す。
季節のイベントもまた、恋人同士で一緒に過ごすべきものだ。夏なら夏祭りに一緒に行って花火を見る。冬ならクリスマス・イヴだ。この日は必ず、お互いにプレゼントを交換し合う。一年で最も愛し合うビッグイベントだ。バレンタインデーは当然女が男にチョコをプレゼントするべき日だ。そうして春が来れば桜が咲く。その桜を見物しに、二人で出かけるもの。
「付き合ったら、デートを必ずする。プレゼントを交換したり、あげたり、もらったりする。記念日はお祝いする」
これが恋愛の様式なのだと私は頑なに信じて疑わなかった。これが恋愛における幸せなのだと。

だから、彼氏ができるたびに男どもが全然デートに行きたがらないことに私はいつも悲しんでいた。自分の想像していた恋愛と現実のギャップが激しいことがほとんどだった。

彼氏と水族館や動物園や映画館になど行ったことはないし、料理を作ってあげても病院飯みたいな味がすると冷蔵庫の上に皿をどかされたこともあったし、当然記念日を祝ったことなど一度もなかった。誕生日やクリスマス、バレンタインの時期には彼氏がいなかったので、何かを贈ったり貰ったりしたこともない。
はあ、どうしてだろう。どうして私が男と付き合うとみんなが当たり前にやっていることが叶わないんだろう。26歳くらいまではそんなことに悩まされていた。