相手に寄り添う覚悟がないなら結婚生活は難しい
今回のお悩みは、あなたと彼は価値観が合わないというよりも、双方の趣味が合わない、または彼はスペック的には申し分ないけれどあなたの理想の男性のタイプに当てはまらない、というだけに過ぎないように思います。
要するに、「お付き合いするなら常にリードしてくれて、ヘルシーな肉体の持ち主で、一緒にアウトドアやスポーツを楽しめる人に魅力を感じる。ただし結婚という面では、家事ができて結婚願望が強くて世話好きな人がいい」というのがあなたの本心だと感じ取ったのですが、だからといって今後そういう完璧な人と出会えて結婚までいけるという保証もないためどこを妥協するか、といったところではないでしょうか。
最初から結婚を見据えてマッチングアプリを利用しているのであれば、恋愛としてのトキメキだけではなく、結婚相手として相応しいか、理想とする結婚生活を送れるスペックを備えている人なのか、といった部分を気にする気持ちはわかります。
もちろん、マッチングアプリの婚活でもトキメキはあるでしょうし、マッチングアプリを介さない恋愛では相手のスペックを全く気にしないわけではない、というのは言わずもがなですが……。
そりゃあ結婚するなら家事ができないよりもできたほうがいいとは思いますし、愛さえあれば他はどうでもいいとはわたしも思いません。
自分の幸せのためにより素敵な人と結婚したいと考えるのは、真っ当だと思います。
でも、そう思っているのは自分だけじゃなくて相手も同じだということは、忘れてはいけないのではないでしょうか。
相談文にある「彼がインドアなのはそんなに気にしない、なぜならインドア派だった元彼をアウトドア派に変えた経験があるから」「海洋恐怖症やゲストハウスNGは生理的な問題だから変えるのはほぼ不可能ではないか」といった文言から、あなたは彼が自分に合わせてくれることを大前提として考えているように感じました。
ところで、あなたは彼に合わせるつもりはないのでしょうか?
友達との旅行ではこれまで通りゲストハウスに泊まってマリンスポーツを楽しむぶん、彼との旅行では温泉旅館に泊まってのんびりするとか、デートでは家でのんびり映画を観て一緒にごはんをつくって食べるとか。力仕事だって、自分でやったっていいじゃないですか。必ずしも男性が担う仕事ではないですし、腕力がなくてもいくらでも工夫することはできますよね。
彼に合わせたいと思えない、相手が自分に合わせてほしいと思うのならそれは仕方のないことですから、その程度の相手という事実を受け入れておしまいにしたらいいと思います。決して非難されることではありません。
価値観が合う/合わないという視点以前に、最初から相手に寄り添う覚悟がないのなら、どちらにしてもその人との円満な結婚生活は難しいのではないでしょうか。
「価値観が合う/合わない」と評価する前に意味を捉え直すべき
冒頭でもお話ししましたが、今回の相談は価値観が合う/合わないという話ではないと思います。
まず、海洋恐怖症という特定のものに対して恐怖を感じ、それが体に不調として現れる症状に対して、「価値観が違う」と形容するのはあまりにも乱暴だと感じました。
運動が苦手なことだって単純に得手/不得手の話なのに、それを「価値観が違う」と結論づけられたらやりきれません。そのあたりは、今一度省みたほうがいいのではないでしょうか。
そもそも、あなたとわたしとでは「価値観」という言葉の捉え方がずいぶん違うように感じました。
価値観は、時間・お金・人生設計・子育て・生活習慣・倫理観など、恋人または夫婦関係を良好に継続することにおいて重要な物事を評価する際の基準を差します。
それを踏まえると、あなたが例に挙げたインドア派/アウトドア派は趣味趣向の違いのように感じます。そういった趣味の違いが露呈したときに、「じゃあフリーの日を設けて各々自分の趣味を楽しもう」「いやいや、交互にお互いの趣味を一緒に楽しんだほうがいいでしょ」といった風に、生活における趣味の比重や時間の共有の仕方についての基準や意見の食い違いが生じてはじめて、価値観の違いと言えるのではないでしょうか。
おそらくあなたはまだ「価値観」の言葉の意味を真に理解しておらず、その状態で相手と自分の違いを全て「価値観の違い」に集約してしまっているのではないかな、と。
わたしは過去にこの連載で「価値観が完全に同じ人なんていない。よくて似た価値観を持った人でしかない。大事なのは価値観の相違が生じたときに、お互いが歩み寄ろうとする価値観を共通して持っているかどうかだと思う」と話したことがありますが、どうやらあなたは今の彼に対してそういった気持ちを持つことはできなさそうです。
決してそれが悪いと言っているわけではなく、それほどあなたにとって一緒にマリンスポーツを楽しめる人かどうか、ヘルシーな肉体の持ち主かどうかが重要なことなのだと思います。
一般的に見れば、結婚相手を選ぶうえで家事能力の高さは魅力的に捉えられるのでしょうが、それよりも譲れない部分があるのであればそちらを優先したほうがあなたの不満は少なくなり、あなたの望む円満な結婚生活に近づけるのではないでしょうか。
今回の相談でひとつ気になったのですが、あなたは自分だけがジャッジできる立場にいると思ってはいませんか?
「告白して関係を続けていくか、潔く次にいくか悩んでいる」と書いてあることからも、彼とはまだ付き合ってはいないんですよね。
告白するかどうかはあなたの自由ですが、告白を受け入れるかどうかは彼次第ですし、その後も関係を続けるかどうか選択できるのはあなただけでなく彼も同じのはず。そのことはどうか忘れずに恋愛を進めてほしいと思います。。
次に付き合う人と結婚したいと思うのはあなたの自由ですが、結婚するかどうかはあなた一人が決められることではありません。
あなたが彼に対して何か思うところがあるように、彼があなたに対して何か思うところが少なくとも同じだけある、という可能性は頭に入れておかなくてはいけませんよ。