30年後の自分は一体…
フランスでももちろん、壮大なマーケティングでもって多くの人たちが洗脳されまくっている映画「スターウォーズ」最新作が公開中である。年末のヴァカンス真っ最中のフランスで、私も観に行って来た。
私は特別スターウォーズのファンというわけではないが、子供の頃から金曜ロードショーなんかで何度も観て、見知らぬ世界に息を飲んだ深い記憶はある。それなのに、この壮大すぎる映画のストーリや時間系列がいまいちわからない。
なので旦那と共に、これまでのスターウォーズを自宅で数日かけて観ることにした。
正直、大人になってからおさらいしても、わかったような、わからなかったような中途半端な状態だった。まあ、登場人物となんとなくの関係や顔はわかるから良しとしよう、と適当な準備で映画館へ出向いたのだった。
いざ映画が始まると例の幕開けに流れるオーケストラ音楽に、ワクワク感がこみ上げてきた。よく考えたら、この映画は日本語直訳で「宇宙の戦争」。そう、戦争の映画なのだ。世界中の人間が「戦争」を知っている。だからこそ、世界中の人間が理解でき、人気を博しているということか。
それを考えたら、ワクワクを感じた自分に罪悪感を覚えたり……。
なんといっても、この映画は長い。さすがハリウッド映画だけあって、飽きさせないテンポでストーリーが展開しているが、ストーリーが進めば進むほど「トイレに行きたい!」という欲望がわめき始めて我慢するのと集中するのに必死になってきた。
とその時、ハン・ソロ役を演じたハリソン・フォード、そしてレイア姫のキャリー・フィッシャーが再会を果たすというシーンが現れた。このおかげで、トイレに行きたい願望が一瞬にして吹き飛ばされてしまった。
もちろん、これは映画だ。架空の世界の中で、1人の俳優と女優が30数年を経て再演を果たしているだけにすぎない。それなのに、こうもリアルに30年数年という月日の経過と、年期の入った俳優と女優の演技を見せつけられると、ハッとさせられてしまったのだ。
この際、スターウォーズなんてどうでもいいくらいだ。
もちろん、劇場に足を運んだ観客たちも中にはあれから30数年という時間を自分の人生の歴史を背後に感じつつ、いろんな感慨を映画に混ぜ込んで楽しんだことだろう。
私は30数年後、どうしているだろうか?生き続けていられるだろうか?伴侶として横にいてくれるのは今の旦那だろうか?そんなことを考えていたら、映画はあっという間に終わってしまった。
Text/中村綾花