他にも「やりたくない」と思ったのは、 披露宴で新郎新婦がケーキをカットする際、参列者たちが2人を囲んで一気にシャッターを押す写真撮影大会。あれを初めてみた時はどん引きしてしまったのを覚えている。

私は仕事柄カメラの裏側にいることが多いので、カメラのレンズを向けられることに非常に違和感を感じる。
いくら人生の晴れ姿であっても、ああも大勢にカメラのレンズを向けられ、それぞれのメモリーカードに私たち夫婦のケーキを切る瞬間の画像が残されてしまうことに、うれしさを感じられなかったのだ。
結婚することになったら絶対に避けたいと思っていたこの催し。
ところが、私たち夫婦が居酒屋の座敷を貸し切って飲み会を開催した際、はからずもそれを体験することになったのだった。

サプライズで幹事の友人が巨大ケーキを注文してくれていたのだ。まさか、もつ鍋が有名な居酒屋で、マカロンがちりばめられた洋風の3段ケーキが出てくるとは思わなかった!

火花が飛び散る巨大ケーキがどこからともなく登場し、私たちの前に鎮座した時には、これまでお世話になっている私の友人や元同僚、上司たちが一斉に注目して携帯カメラを向けているではないか……。

結果、なんだかその場の全員が一致団結して結びつくような空気が生まれ、お祭り感があって正直楽しかった。なにより、サプライズをしてくれた友人の心意気に感謝してジンときたのだった。

Text/中村綾花