結婚生活の不満話が相手を傷つける

 こんな経験をしたパリ在住の日本人女性を知っています。

 フランス人と結婚しフランスで仕事をもって働いている彼女が、未婚&正規の契約をもらえない不安定な労働環境で仕事をしている友人に「いかに私の結婚生活が大変か、いかに仕事で嫌なことがあるか」を話したところ、「いいかげんにせぇ。あんたは私より恵まれてるというのに!」とキレられて以降、友達関係が切れてしまったそうです。当然のことだと思います。

 彼女は、いかに自分が大変な目にあっている不幸な人間かということを話したかったのだろうけれど、相手には自慢話の嫌みにしか聞こえてなかったということです。

 愚痴りたい気持ちもわかるんですよ。結婚したって、いい仕事を手にしたからって、不幸はどんどん向こうからエンドレスに降りかかってくるからです。結婚したらしたで、その立場や環境だからこその不幸がやってきます。いい仕事を手にしたら手にしただけ、責任やら難しさに立ち向かわなければいけなくなるでしょう。

 もちろん、結婚をして2人で一緒にいることでトラブルの対処が早くなったり、お互いを助け合ったりできる便利さもあります。

 ただし結婚したから万能になったり、幸せばっかりが続くわけでもないのですよ。

 これを知っておくと、既婚者の愚痴もなんだかかわいそうに見えてくるものかもしれませんね。

Text/中村綾花